中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 家庭ワーキンググループ(第6回)資料 (令和8年4月17日)

要約

本資料は、次期学習指導要領に向けた家庭科の改訂検討を進める家庭ワーキンググループ第6回会合(令和8年4月17日)の配付資料をまとめたものである。主な議題は以下の3点。

(1)デジタル学習基盤を活用した学習の充実 1人1台端末を「主体的・対話的で深い学び」を実現するための学習基盤として学習指導要領に明確に位置付ける方向が提示された。家庭科の実践的・体験的活動における具体的な活用例(調理・製作の動画記録、住居間取りの3D設計、AIを活用した情報収集・シミュレーションなど)も示された。委員発表(亀田委員)では、GIGA以前と以降の授業の変化を実践事例で紹介し、端末活用が教材作成効率・個別最適な学び・見取りの質を飛躍的に改善したことが報告された。

(2)評価の在り方等 現行の「主体的に学習に取り組む態度」評価の課題(形式的な勤勉さ評価、教師負担の大きさ)を受け、「学びに向かう力・人間性等」を「個人内評価」へ転換する方向が提示された。「初発の思考・好奇心」「学びの主体的な調整」「対話や協働」の3要素が思考・判断・表現の過程で継続的に発揮された場合に「◯」を付記し、「思・判・表」の観点別評価と一体的に評価する仕組みが検討されている。また、毎学期の評定は義務ではなく学年末総括でも可能とすることで、学習改善に生かす評価の充実を促す方向性が示された。

(3)系統性・体系性の整理 小・中・高等学校を通じた家庭科の内容について、現行の3領域から新たに5領域(A家族・家庭と生涯発達、B生活の経営と消費生活、C食生活、D衣生活、E住生活)+高等学校「家庭総合」限定のF領域(総合生活実践)に再編する方向が整理された。空間軸(自分→家族→地域→社会)・時間軸(現在→これから→生涯)の視点を明示し、校種間の重複整理・内容精選も進める。委員提出資料(大友委員・鈴木委員)から、金融経済教育(キャッシュレス・金利・資産形成・リスク管理・NISA/iDeCo等)や消費者教育の充実・系統化を求める具体的な提言も行われた。

現場視点の一般的な懸念

① デジタル活用の学校間格差への対応 1人1台端末を「前提」とする学習指導要領改訂が示されているが、端末の更新状況、ネットワーク環境、ICT支援体制は学校・地域によって大きく異なる。先進事例が標準像として一般化されることで、環境が整っていない学校が形式的な対応を迫られる懸念がある。

② 評価制度変更に伴う実務負担と混乱 「◯」付記という新たな評価記号の運用は、現場教師にとって判断基準が不明確になりやすく、「継続的な発揮」をどの時点で認定するかの具体的指針がなければ、かえって恣意的な評価や評価材料の収集努力が増加するおそれがある。「学年末に評定をまとめる」運用についても、生徒・保護者への説明方法や高校入試への影響(特に中学3年生の2学期評定需要)が未解決である。

③ 内容の増加と授業時数の矛盾 金融経済教育(NISA・iDeCo・奨学金返済・リスク管理など)、消費者教育、デジタル消費、生活文化継承、AIリテラシーなど、新たに充実すべき内容が相次いで挙げられている一方、授業時数は精選・削減を前提としている。削除できる内容と新規内容のバランス調整が不十分なまま要求が積み上がると、現場の授業設計が破綻しかねない。

④ 実習・体験活動の軽視リスク デジタル活用が強調されることで、調理・製作・整理・整頓などの身体的・実践的活動が縮小される懸念がある。家庭科の本質的な価値である「実感を伴う体験」を担保しながらデジタルと並立させるための時間的・物的・人的リソースの確保策が示されていない。

⑤ 教員の専門性と研修機会の不足 金融経済教育・AIリテラシー・新しい評価方法・デジタル教材作成など、教員に求められる新たな知識・スキルの幅が急速に広がっている。現職教員への研修機会の確保と、免許取得課程における対応がなければ、改訂の趣旨が現場に着地しない。

⑥ 「見取る姿(仮称)」の信頼性と標準化 国が示す「見取る姿」を各学校がそのまま活用することを想定しているが、学校の実態・地域・生徒層によって表出の様相は多様であり、画一的な指標が実際の子どもの姿と乖離するリスクがある。特に不登校・特別支援の必要な生徒への適用についての具体的ガイダンスが求められる。

教育課程部会 算数・数学ワーキンググループ(第9回) 配付資料:文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/110/siryo/mext_00010.html

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