
要約
調査の概要
本調査は昭和51年度から実施されており、就職を希望する高校生全員(学校紹介を希望しない自営業者・公務員等を含む)を対象とした悉皆調査である。厚生労働省の類似調査とは母集団が異なる点に留意が必要。
主要結果
就職率(全体) 就職率は97.9%(前年同期比0.1ポイント減)。卒業者929,178人のうち就職希望者127,696人、就職者124,978人、未就職者2,718人。
男女別 男子98.4%(前年同期比同)、女子97.0%(前年同期比0.3ポイント減)。
学科別(就職率が高い順) 工業99.5%、水産99.4%、看護99.0%、商業98.8%、農業98.6%、福祉98.6%、情報98.2%、家庭98.1%、総合学科97.5%、普通95.7%。
都道府県別 就職率が高い県は福井99.9%、広島99.8%、福島99.8%等。低い県は沖縄91.7%、神奈川93.4%、千葉94.6%等。関東・近畿地域が全国平均を下回る傾向が顕著。
長期トレンド 昭和50年代の60%台から長期的に上昇し、近年は97〜98%台で高止まり。ただし令和7年度は前年から微減。
現場視点の一般的な懸念
①「未就職者2,718人」の実態が見えない 就職率97.9%という高水準の陰に、約2,700人の未就職者が存在する。この数値は「希望者比」であり、就職も進学も希望しない卒業者や、就職活動そのものを断念した生徒は分母に含まれない。数字の外側にいる生徒の支援状況は本調査からは読み取れない。
②普通科と職業学科の格差拡大への無関心 普通科の就職率95.7%に対し、工業科は99.5%と約4ポイントの差がある。この差は「職業教育の有効性」として語られがちだが、現場では普通科卒業者が就職活動において情報・スキル・学校斡旋ネットワーク等の支援が相対的に薄い現状がある。格差の原因分析が政策に反映されているかは疑わしい。
③地域間格差の構造的放置 沖縄91.7%と福井99.9%の約8ポイント差は毎年固定化されている。「都市部の就職率が低い」という説明で済ませる傾向があるが、学校側が担う地元企業との調整・マッチング業務の負荷は格差の大きい地域ほど重く、教員の業務負担として顕在化している。
④「県外就職」率の高さが示す地方の空洞化 東北・北陸・九州の多くの県で、就職希望者の2〜4割が県外就職を選択している。これは地元の求人吸収力の限界を示すものだが、高校の進路指導・就職支援業務の結果が地域産業強化に直結していないという矛盾を学校現場は抱えている。
⑤女子就職率の継続的低下傾向への対応の不透明さ 女子の就職率は前年比0.3ポイント減と、男子の横ばいと対照的に下落している。学科別・地域別の女子就職状況の詳細分析や、ジェンダーに起因するミスマッチへの政策的対応は本資料には示されておらず、現場任せの状況が続いている。
⑥調査の「内定率」と「実質的な就職定着率」の乖離 本調査は3月末時点の内定・就職率であり、入職後の早期離職・ミスマッチは対象外である。高卒就職者の3年以内離職率が依然として高い状況のなかで、この数値だけで「高校就職指導の成果」とみなされることへの懸念は現場に根強い。
令和8年3月高等学校卒業者の就職状況(令和8年3月末現在)に関する調査について
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kousotsu/kekka/k_detail/mext_00043.html
_配付資料_1-380x300.png)

_配付資料_1-380x300.png)