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要約
本資料は、令和8年8月7日(金)14時00分~15時30分にオンライン(Zoom)形式で開催された「国立大学法人等施設整備に関する検討会(令和8年度)」第3回の配付資料である。議題は「令和9年度国立大学法人等施設整備事業の評価及び選定について(審議)」の1件で、これまで4月9日の第1回、5月18日の第2回を経て各大学等が作成した概算要求書について、委員による評価(7月中旬実施)を踏まえた選定の考え方の決定と、令和9年度概算要求事業の選定が行われた。
配付資料の中核をなす資料1-2(評価の所見案)は、「機能強化等への対応」の評価項目のうち高評価を得た要求書の記載傾向を示すもので、①施設整備の必要性・緊急性等、②持続発展性、③大学のミッション・ビジョン等との関係、④社会等との関係、⑤他のプロジェクトとの関係という観点ごとに、「既存施設や借用施設では活動が実施できないことをわかりやすく示しているもの」「保有面積の増を抑制する工夫を定量的に示しているもの」など、具体性・定量性を伴う記載が高く評価される傾向が示されている。
資料3(評価案の概要)は、令和9年度の評価結果を数値で示している。重点事業のうち「(1)安全・基盤」(対象393件)はS評価360件(92%)、A評価23件(6%)、B評価9件(2%)、C評価1件(0%)。「(2)機能強化」(対象131件)は修正前後でS評価が77件(59%)から80件(61%)へ、A評価が28件(21%)から24件(18%)へと修正されている。「(3)共創環境強化」は対象事業自体が0件であった。全体の合計(524件)ではS評価が437件(83%)から440件(84%)に修正され、令和8年度評価(参考、568件)のS評価79%と比較しても高い水準にある。
資料5(選定の考え方)では、総合評価Sとなった事業を基本に、安全・安心な教育研究環境基盤の整備、機能強化等への対応、カーボンニュートラルに向けた取組及び施設マネジメントの視点からの事業ごとの評価に、多様な財源による整備状況・適正な事業執行等に関する法人ごとの評価を加味して選定するとされ、耐震対策・防災機能強化に配慮した耐災害性強化事業、防災拠点ともなり得る附属学校体育館等への空調整備事業、キャンパスのイノベーション・コモンズ(共創拠点)化に資する事業、附属病院事業と一体的に実施することが効率的な事業などが優先的に推進する対象として挙げられている。附属病院事業については、先端医療・地域医療等に対応した教育・研究・診療機能と経営基盤の強化に資する取組であることに加え、新たな感染症や災害等の不測の事態への対応能力も選定の観点とされる。
資料6(今後のスケジュール)によれば、8月末に令和9年度概算要求書が提出される予定で、12月中旬の第4回検討会(Web開催又はメール審議を予定)で「令和9年度予算案における国立大学法人等施設整備事業の選定の考え方」の決定と予算案における具体的事業の選定が行われ、12月下旬の予算案閣議決定へとつながる見通しが示されている。
参考資料群では、「骨太の方針2026」「日本成長戦略」「地域未来戦略」「統合イノベーション戦略2026」「第7期科学技術・イノベーション基本計画」「第1次国土強靱化実施中期計画」「国立大学法人改革基本方針」など多数の政府決定文書、さらに大学病院を支援する議員連盟・国公立大学振興議員連盟・自由民主党教育立国調査会など複数の議連・政党提言が引用されており、いずれも国立大学法人運営費交付金・施設整備費補助金の「大幅な拡充」やイノベーション・コモンズ化の推進、老朽化した大学病院施設の緊急的改善、補正予算依存からの脱却などを共通して訴えている点が確認できる。また参考資料2・4(いずれも令和8年5月18日決定)では、高度経済成長期に建設された教育研究施設の多くが十分に改修できず「いつ事故が発生してもおかしくない深刻な老朽施設」が残存している実態への強い危機感が示され、経年100年程度の使用を目指す「長寿命化ライフサイクル」への転換や、一定規模を超える新築・改築事業についてPFIによる整備を原則とする方針も明記されている。
現場視点の一般的な懸念
- 評価のインフレ傾向と指標の自己目的化リスク:資料3が示す通り、令和9年度評価では合計524件中S評価が440件(84%)に達し、これは令和8年度評価(568件中S評価449件、79%)を上回る水準である。特に「機能強化」カテゴリーではS評価の割合が59%から61%へと審議の過程で上方修正されている。老朽化した施設の実態そのものが年々改善しているというより、各大学が資料1-2に示された「高評価を得やすい記載パターン」(定量的な保有面積抑制効果の明示、具体的な社会連携実績の記載等)を学習し、申請書の完成度を高めてきた結果としてS評価が量産されている可能性があり、評価点数の上昇が実際の施設整備ニーズの解消度合いを正確に反映しているかは、この資料だけでは判断しにくい。
- 申請書作成能力の大学間格差:資料1-2が示す高評価の要件は、「既存施設で対応できない理由をわかりやすく示す」「ゾーニングや間取りの工夫に言及する」「イノベーション・コモンズの全体イメージをA4ポンチ絵1枚で示す」など、専門的な企画立案・図面作成の技量を要するものが多い。参考様式でも「本票は2枚(両面1枚)以内」「文字は10ptより小さくせず、行間は12ptより狭くしない」といった細かい書式要件が課されている。こうした申請書の質は、施設整備担当部署の人員体制や企画立案能力に依存する部分が大きく、真に老朽化・危険度が高い施設を抱えていても、申請書作成体制が手薄な大学等では十分な評価を得られない構造的な格差が生じるおそれがある。
- イノベーション・コモンズ(共創拠点化)評価における地域間・分野間の不利:資料5・参考資料4は、社会等との連携強化や地域・産業界との共創活動を評価の柱の一つと位置付けているが、共創拠点化の相手方となる企業・自治体・海外研究機関等が身近に存在するかどうかは、大学の立地条件に大きく左右される。実際、「(3)共創環境強化」カテゴリーの対象事業は、重点事業・参考の令和8年度評価のいずれにおいても0件であり、この枠組みが実際にはほとんど機能していない可能性がある一方、その理由(そもそも該当事業の要求がないのか、要件が厳しく該当しにくいのか)は資料からは明らかでない。
- 補正予算依存からの脱却という方針の実現可能性:参考資料2は「施設整備費補助金は当初予算の2倍程度の金額を補正予算で措置することが常態化しており、長期間の工期が確保できない等の実務的な支障が発生している」とし、当初予算を前提とした安定的な予算措置への転換を求めている。しかし、これはあくまで検討会としての要望であり、実際の予算編成は財務省との折衝や政府全体の財政運営方針に左右される。各大学が「当初予算中心の計画的な施設整備」を前提に中長期計画を立てても、従来通り補正予算への依存が続いた場合、工期の見通しが崩れるなど現場の計画立案に混乱が生じる懸念が残る。
- 附属病院施設の緊急性と予算確定時期のギャップ:参考資料に引用された複数の議連決議(大学病院を支援する議員連盟等)は、老朽化した大学病院の施設・設備について「期限(5年程度)を区切った、力強い緊急支援」を求めるなど強い危機感を示している。一方、資料6のスケジュールによれば、令和9年度概算要求は8月末に提出され、予算案における具体的な事業選定は12月中旬の第4回検討会まで確定しない。附属病院が抱える老朽化・安全性の問題の緊急性と、予算が実際に確定するまでの行政手続き上のタイムラグとの間には、なお相応の期間が存在する。
- PFI原則化が中小規模法人に与える負担:参考資料4は、令和4年度より一定規模を超える新築・改築事業についてPFIの実施を原則として交付要件化していることを明記している。PFI事業の組成には、事業者選定手続き、リスク分担の設計、長期契約管理など専門的な知識・体制が必要であり、大規模大学に比べて専任の施設整備担当者が少ない中小規模の国立大学法人・高専等にとっては、この要件への対応自体が新たな負担となりうる。
- カーボンニュートラル評価の詳細が非公開であることの説明責任:資料2「『カーボンニュートラルの実現に向けた全学的取組』に関する評価方法及び評価結果(案)」は「委員限り」とされ、公開資料からは評価の詳細な仕組みを確認できない。参考資料4に示された評価の視点(ZEB化計画、積雪寒冷地における太陽光発電の最大効率化等の先導的手法)からは、気候条件によって対応の難易度が異なる目標が設定されていることがうかがえるが、非公開資料であるため、地域特性に応じた評価の公平性がどのように担保されているかは外部から検証しにくい。
現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案
- 評価結果の経年変化を老朽化実態の指標と切り分けて公表する:S評価割合の上昇が申請書の質の向上によるものか、実際の施設整備ニーズの充足度の変化によるものかを区別できるよう、老朽化施設の絶対量(経年45年以上の未改修建物面積、法定耐用年数の2倍を超える基幹設備数等)の推移と評価結果の推移を並べて公表し、評価点数の上昇のみが独り歩きしないようにする。
- 申請書作成支援の標準化・研修機会の提供:資料1-2で示された高評価の記載パターン(定量的な効果の明示、イノベーション・コモンズ全体イメージの描き方等)を、優良事例集やひな形として全大学等に共有し、施設整備担当者向けの研修機会を国が定期的に提供することで、申請書作成体制の薄い大学等が不利にならないようにする。
- 共創環境強化カテゴリーの実施状況の検証と要件の見直し:「共創環境強化」カテゴリーの対象事業が継続して0件となっている要因を検証し、要件が実態に即しているか、あるいは地方大学・高専等が該当しにくい制度設計になっていないかを点検した上で、地域特性に応じた柔軟な評価基準への見直しを検討する。
- 当初予算化に向けた工程表と代替措置の明示:補正予算依存から当初予算中心への転換について、単なる方針表明にとどめず、移行に向けた複数年度の工程表を示すとともに、当初予算での確保が計画を下回った場合の対応方針(優先順位の再設定基準等)をあらかじめ大学等に周知し、現場の中長期計画への影響を最小化する。
- 附属病院の緊急性に応じた予算確定プロセスの前倒し検討:老朽化の緊急度が特に高いと判断される附属病院施設については、通常の概算要求・予算編成スケジュールとは別に、優先度の高い事業を早期に特定し、財源の見通しを他事業に先行して示す仕組みを検討することで、現場の不安を軽減する。
- PFI手続きに関する伴走支援の拡充:中小規模の国立大学法人・高専等がPFI要件に対応できるよう、導入可能性調査への支援や外部専門家によるアドバイザリー体制の拡充を進め、PFI原則化が事業の停滞を招かないようにする。
- カーボンニュートラル評価の考え方の一般公開:評価結果そのものは委員限りとしても、地域特性(積雪寒冷地等)に応じた評価上の配慮の考え方や評価項目の一般的な説明については、可能な範囲で公開資料に含め、評価の公平性に関する外部からの理解を得やすくする。
※この文章はAIで作成されています。あくまで参考としてお読み取りいただき、事実関係、内容の妥当性の確認はリンク先の原典を当たるなど各自の判断でお願いします。
国立大学法人等施設整備に関する検討会(令和8年度)(第3回)配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/080/siryo/mext_00001.html


