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要約
本資料は、令和8年9月2日(水)10時から12時まで、Web会議方式で開催された教科用図書検定調査審議会総括部会(第2回)の配付資料一式である。議題は「教科書検定の改善について」及び「その他」の2件で、令和12(2030)年度からの小学校での使用開始を見据え、文字・図画以外にも動画・音声・シミュレーション・プログラミング等のデジタルコンテンツを含む「デジタルな形態を含む新たな教科書」に対応した検定審査の方向性を審議するものである。資料群は、事務局が示した「教科書検定の改善に関する方向性(骨子案)」(資料1-1・1-2)、これまでの各部会(国語・社会・理科等の教科別部会と考えられる)で出された主な意見(資料2-1・2-2)、全国連合小学校長会・全日本中学校長会・全国高等学校長協会・全国特別支援学校長会の4団体が提出した意見書(資料3-1~3-4)、そして並行して進められている「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議」の検討状況(資料4)の4本柱で構成されている。
骨子案(資料1-1・1-2)の中心的な論点は6点に整理されている。第一に、文字や図画以外のデジタルコンテンツについては、現行の検定基準の要件に加えて「教科の本質的理解の獲得に資するものであること」「学習における活用目的・活用方法が明確であること」「原則として授業時数の中で当該コンテンツを活用した学習活動を行うことが想定されていること」を新たな要件とする方向が示され、あわせて「授業自体を代替するような講義動画・解説動画」「反復練習のための大量の練習問題や入学試験・資格試験の掲載」「教科の本質的理解と関わりの薄い娯楽要素の多いゲームや漫画」などは教科書としての掲載を認めない具体例として列挙されている。第二に、デジタルの「機能」(音声読み上げ、文字拡大・縮小、ルビ表示等)については、記述内容の変更を伴わないものとして機能の一覧提出にとどめ、動作確認は行わない整理が示された。第三に、動画については、「再生操作により静止画を連続自動表示する内容(スライドショー・アニメーション含む)」という定義案とともに、現行の教科書の二次元コード先には1点あたり合計5時間を超える動画が掲載されている例もあるとして、教科の特性に応じて種目ごとに動画総量の上限時間数を定める方向が示された。音声についても、外国語の音声は申請時に「外国語音声に関する方針」の提出を求め、客観的な誤りの有無や当該外国語として通用するかを審査する案が示されている。第四に、デジタル部分を含む教科書の構成については、画面内に一度に表示できる分量ごとにページ番号を振ること、紙とデジタルで同一内容を重複掲載することは真に必要な場合に限定すること等が論点となっている。第五に、審査手続きについては、検定申請時のデジタルコンテンツ提出期限(申請書提出から5週間程度)、修正表提出後の動画・音声ファイル提出期限(6~7週間程度)といった具体的な期間案が示された。第六に、その他の論点として、検定審査料(現行のページ単価は据え置きつつデジタルコンテンツに定額を加算する案)、審査体制(デジタルコンテンツに特化した専門委員の追加委嘱)、そして誤記・誤植を減らすための教科書発行者の編修・校正体制の明確化(検定後の編修校正関係者名簿の提出を求める案)が挙げられている。
各部会の意見(資料2-1・2-2)では、デジタルコンテンツを教科書と教材とで明確に線引きすべきという意見や、生成AIについては「回答内容に可変性があり正確性の担保が困難」として教科書への搭載を見送るべきとの意見が多く出された一方、動画総量の上限設定については「一定の上限が必要」という意見と「教科特性や発達段階に応じた柔軟な取扱いが必要」という意見の両方が併存している。外国語音声の審査については、委員全員が音声学の専門家ではないことを踏まえた審査体制強化を求める声も上がった。
4つの校長会からの意見書(資料3)は、立場によって力点が異なる。全国連合小学校長会は、教科書に含めるコンテンツを「学習目標の達成に直結する核心的な内容」に絞り込み、参考資料や補足的動画は「副教材・補助教材」として明確に区分すべきとし、動画1本あたり30秒~5分程度という具体的な時間の目安まで示している。全日本中学校長会は、アクセシビリティ(読み上げ機能・字幕・多言語対応等)を「デジタル教科書の優れた特性」として積極的に位置づける一方、動画総量については「一律に時間数で制限するのではなく教科の特性を踏まえた基準」を求めた。全国高等学校長協会は、動画・音声について「量ではなく教育的必然性と学習効果を重視した基準」とすべきと述べ、生成AIについては当面教科書本体と区分すべきとしつつ、検定合格後の見本本提供時期の前倒しなど、高校特有の教科書採択実務に配慮したスケジュール確保を要望した。全国特別支援学校長会は、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・知的障害・病弱といった障害種別に応じた具体的な配慮(音声化、手話、スイッチ操作対応、簡潔な構成等)を検定基準に組み込むことを求めている。
並行して進む「デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議」(資料4)は、令和8年4月の第1回から8月18日の第5回まで審議を重ね、秋頃までに大臣指針をとりまとめる予定である。第5回では、教科ごとに紙・デジタルそれぞれが効果的な学習場面を整理した一覧(例:国語の音読は現代文が紙、古文・漢文はデジタル、英語はネイティブ音声を使うシャドウイングや発音確認がデジタル向き等)や、教育委員会・学校の意向調査結果(ハイブリッドな形態を望む回答が小学校88.3%、中学校86.3%、高等学校78.4%と最多、小学校低学年ほど紙中心を望む傾向)が示され、令和12年度以降の当面の取扱いとして、全てがデジタルな教科書は対象学年を一定学年以上に限定することも論点として挙げられている。参考資料1が示す全体スケジュールでは、令和8年度中に「発行・採択等の指針」及び「検定審査の在り方」をとりまとめ、令和9年度に大臣指針を踏まえた著作・編集、令和10年度に検定手続き整備、令和12年度使用の小学校教科書検定を経て、令和12年度から学校現場での使用が開始される見通しが示されている。
現場視点の一般的な懸念
- 「教科書」と「教材」の線引き基準がなお抽象的な段階にとどまる:骨子案は「教科の本質的理解の獲得に資する」「活用目的・活用方法が明確」といった要件を示すが、4つの校長会がそろって「掲載されているコンテンツはすべて教えなければならないという現場の誤解・負担感」への対応を求めていること自体、この線引きが具体的な運用レベルではまだ定まっていないことを示している。数値基準や判定フローが示されないまま検定が始まれば、発行者・審査側・学校現場それぞれで解釈がぶれるおそれがある。
- 動画総量の上限設定方法について校種間で意見が分かれたまま:全国連合小学校長会は1本あたり30秒~5分程度という具体的な目安を提示する一方、全国高等学校長協会は「一律に時間数だけで上限を設定することには慎重であるべき」とし、「量」より「教育的必然性」を重視すべきと主張している。事務局の方向性も「種目ごとに上限の時間数を定めることとしてはどうか」というたたき台の段階であり、校種・教科ごとにどのような基準で折り合いをつけるのか、具体的な調整プロセスが見えない。
- AI搭載の可否・時期に関する判断軸が定まっていない:事務局案は「今後の技術の進展を踏まえるとともに、当面、以下のような観点について整理が必要」と述べるにとどまり、各部会の意見でも「教科書外の教材として検討すべき」「見送ることが適切」といった慎重論が多い一方、明確な結論には至っていない。生成AIをめぐる社会的な技術進展の速さを考えると、検定基準の整理が追いつかないまま実質的な運用判断が先行するリスクがある。
- 訂正反映の運用(長期休暇中限定)の実務的な詳細が未確定:デジタル部分の誤記・誤植以外の訂正は「学校の長期休暇中の時期に限り」反映する方向が示されているが、紙とデジタルの訂正にタイムラグが生じないようにすることや、新旧対照表・更新履歴の確認方法など、校長会側から具体的に要望されている実務フローについては、骨子案の段階ではまだ制度設計が固まっていない。
- 審査体制強化(専門委員の追加委嘱)や審査料の段階設定の実現可能性が不透明:デジタルコンテンツに特化した専門委員を追加する方向性や、コンテンツ総数に応じて審査料を段階的に設定する案が示されているが、どの程度の人数・専門性を持つ委員を確保できるのか、既存委員の負担がどう変化するのか、審査料の具体的な水準はどうなるのかについて、この段階ではまだ具体像が示されていない。各部会の意見でも「委員負担の増大を踏まえた審査体制の見直しが必要」との指摘がある。
- 校種間の意見の隔たりが大きい中での一律の検定基準策定というハードル:小学校長会は「厳選・絞り込み」、特別支援学校長会は「アクセシビリティの必須要件化」、高等学校長協会は「数量規制より教育的必然性を重視した柔軟な基準」を求めるなど、校種によって重視する観点が異なる。これらを一つの大臣指針・検定基準体系にどう落とし込むのか、意見反映の具体的なプロセスは本資料からは読み取りにくい。
- 令和12年度の小学校導入に向けたスケジュールの窮屈さと、発行者・採択権者側の実務上の懸念への対応:参考資料1のロードマップによれば、令和8年度中に指針・検定審査の在り方をとりまとめ、令和9年度に大臣指針を踏まえた著作・編集、令和10年度に検定手続き整備というタイトな工程が続く。全国高等学校長協会が要望した「検定合格後の見本本提供時期の前倒し」など、採択実務に必要な期間確保についての具体的な回答は、現時点の資料からは示されていない。
- 特別支援教育向けのアクセシビリティ要件と「機能」審査の整理との関係が不明確:全国特別支援学校長会は視覚・聴覚・肢体不自由・知的障害・病弱それぞれの特性に応じた具体的な対応(音声化、手話対応、スイッチ操作対応等)を検定基準に組み込むよう求めているが、骨子案本体では「機能」(音声読み上げ・文字拡大等)について「動作確認等は行わないこととしてはどうか」という審査の簡素化の方向性が中心であり、アクセシビリティを実質的にどう担保するのかという観点からの明示的な位置づけは薄い。
現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案
- 「教科書」と「教材」の区分基準を具体化したQ&A・判定フローチャートの整備:抽象的な要件(本質的理解への寄与、活用目的の明確性等)に加えて、実際に申請されそうな具体的なコンテンツ類型ごとの該当・非該当例を蓄積したデータベースやQ&A集を検定基準の策定と並行して用意し、発行者・審査委員・学校現場が同じ物差しで判断できるようにする。
- 動画総量上限の校種・教科別パイロット検証を経た段階的な数値設定:小学校長会が示す30秒~5分といった目安や、高等学校長協会が求める「量より教育的必然性」という考え方の双方を踏まえ、いきなり全国一律の数値基準を定めるのではなく、教科・校種ごとの実証的なパイロット運用を経て、柔軟に見直し可能な形で段階的に基準を設定する。
- AI搭載の是非に関する検討ロードマップの明示と先行ガイドラインの整備:教科書本体へのAI搭載についてはまず教材としての活用実証を先行させ、その知見を踏まえた検討スケジュール(いつまでにどのような論点を整理するか)を明示することで、技術進展のスピードに検定制度の議論が置き去りにされないようにする。
- 紙とデジタルの訂正反映を一体的に管理する標準的な仕組みの整備:新旧対照表・更新履歴・反映予定時期を教員が一目で確認できる標準仕様(バージョン管理機能等)を検定制度の中で位置づけ、紙の教科書とデジタル部分の訂正反映にタイムラグが生じないような運用ルールをあわせて明確化する。
- 専門委員の人材確保計画と審査料算定方法の早期具体化:デジタルコンテンツ審査に必要な専門性(ICT、アクセシビリティ、音声学等)を持つ人材のプールをあらかじめ把握・確保する計画を立てるとともに、審査料の段階的設定についても具体的な区分・金額のたたき台を早期に示し、パイロット運用を通じて検証する。
- 校種別の運用細則(種目別ガイドライン)による意見反映プロセスの可視化:大臣指針・検定基準の本体は共通のものとしつつ、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校それぞれの実情に応じた運用細則を種目別ガイドラインとして別途整備し、どの校長会のどの意見がどのように反映された(あるいはされなかった)のかを整理して公表することで、現場の納得感を高める。
- 発行者・採択権者の実務工程を織り込んだ全体スケジュールの再提示:検定合格後の見本本提供時期の前倒しなど、採択実務に必要な期間についての校長会側の要望を踏まえ、令和8~12年度の全体ロードマップに、発行者の編修期間・採択権者の調査研究期間を具体的に組み込んだ形で再度示し、現場が見通しを持って準備できるようにする。
- アクセシビリティ要件を検定基準の明示的な項目として位置づける:「機能」審査の簡素化(動作確認を行わない)という方向性とは別立てで、視覚・聴覚・肢体不自由・知的障害・病弱等の特性に応じたアクセシビリティ対応を、検定基準の中に独立した審査観点として明記し、機能審査の簡素化がアクセシビリティ確保の後退につながらないよう、両者の関係を整理して示す。
※この文章はAIで作成されています。あくまで参考としてお読み取りいただき、事実関係、内容の妥当性の確認はリンク先の原典を当たるなど各自の判断でお願いします。
令和8年度教科用図書検定調査審議会総括部会(第2回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/tosho/016-5/siryo/1414759_00001.htm


