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要約
本文書は、令和8年1月の中間まとめを踏まえ、各免許種別の作業部会における議論の報告を受けて策定された二次まとめである。改革の骨子は「多様な専門性を有する教職員の質と量の確保」であり、以下の四領域で構成される。
(1)教員養成の質向上方策 指導法と教科専門的事項の一体化、「強み専門性」の新設(原則20単位)、コアカリキュラムの改定とCBT活用による単位の実質化が柱。強み専門性は、学位課程との一貫性を条件に免許状への付記を可能とする。
(2)免許の修士レベル化(専修免許状) 最終的に専修免許状取得を目指す方向性を示す。直接養成では大学院での24単位追加修得、在職上進では最低在職年数3年かつ15単位修得を要件とする(現行どおり)。中堅教諭等資質向上研修を免許法認定講習として認定する経路を整備し、学校現場・教育委員会での臨床的研修も上進単位として認定する。在職年数・実績に応じた単位逓減措置(最大7単位)も新設。
(3)横断的・共通的改正事項 全免許における特別支援関連科目の1単位から2単位への引き上げと科目名称の改訂(「合理的配慮の提供・基礎的環境の整備」を明示)、「教育課程の意義及び編成の方法」への校種間接続の追加、「特別活動の指導法」への学級経営の包摂、施行規則66条の6「体育」の従来科目としての廃止(各学校種での代替的位置づけは引き続き検討)、準学士保有者の免許取得可能化、など。
(4)各免許種別の主要改正事項 幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭の各免許について、科目区分の再編と必要事項の見直しが学校種ごとに詳述される。小学校では全10教科の指導法1単位ずつを必修化、中学校・高等学校では教科専門科目を強み専門性へ移行させることを前提に最低修得単位数を圧縮、特別支援学校では第一欄・第二欄・第三欄の科目構成を抜本的に再構造化し「特別支援教育に関する選択科目」(免許状A:9単位)を新設。養護教諭・栄養教諭については科目区分の再編と今日的課題への対応が図られる。
加えて、養成・採用・研修の各段階を一体的に位置づけた人材育成イメージ(高校段階からの入職意欲喚起→養成→採用→研修)と、大学間連携拡大のための教職課程認定基準の改正(単位互換上限の整理、教職専任教員要件の見直し等)が示されている。
現場視点の一般的な懸念
強み専門性の制度設計と大学規模格差の問題
強み専門性(20単位)の創設は、大学の学位課程との一貫性を審査要件とする。これは大規模総合大学や教員養成系大学ほど選択肢を豊富に設計しやすく、単科系・地方小規模大学では認定可能な強み専門性の選択肢が構造的に限られる。文書は「大学と学生の自律的なカリキュラムデザイン」を強調するが、大学間格差が養成の質的分断をもたらすリスクについて、対応策の具体性を欠く。
単位の「実質化」とCBT活用の矛盾
単位の形式的積み上げを批判し「質を重視する」と言いながら、CBT問題の作成・PLANTへの搭載という別の測定指標を導入している。「量でなく質」という言説が、測定可能な指標への換置という帰結をたどる構造は、他の教育改革文書で繰り返されてきたパターンであり、本文書でも同様の傾向がある。現場教員・大学教員からは、CBTへの対応が逆に授業設計を拘束するという懸念が生まれやすい。
修士レベル化の実効性と勤務実態の乖離
中堅教諭等資質向上研修を大学院単位として認定する方策は方向性として評価できるが、現職教員が大学院レベルの学修に継続的に取り組むための「時間」「職場内の代替体制」「費用」の問題は文書にほぼ記述がない。単位逓減措置(最大7単位)は一定の配慮であるが、校長・主幹クラスに限られる実績要件を設定しており、一般教員にとっての有効な経路になるかどうかは不明確である。
特別支援教育の「採用後10年以内の人事交流」の実現可能性
特別支援学級担任・通級担当者に採用後10年以内での特別支援学校勤務経験を促す方針、および特別支援学校教師に小・中・高等学校での勤務経験を促す方針は「地域の実情に応じつつ」という留保付きとはいえ、深刻な教員不足が続く都市部・地方農山村部の双方にとって実施困難なケースが多い。人事権を持つ都道府県教育委員会・政令市教委への拘束力が不明確なまま示された「配慮」事項が、現場に負担として転嫁される可能性がある。
免許状(A)・(B)の二区分と職場内処遇の不整合
強み専門性の有無によって免許状をA・Bに区分する制度設計は、初任給・人事評価・担当可能な職務の差異を将来的に生じさせる可能性がある。文書は免許状名称等の詳細を「今後検討」としているが、A・B区分が現場で序列化・差別化の文脈に使われるリスクへの事前的な考慮が見られない。
幼稚園における0〜2歳児受入れ拡大への対応の不十分さ
乳幼児の安全・健康確保に関する内容の「充実」が言及されるにとどまり、0〜2歳児受入れに対応するための専門的学修内容・時間数の具体的な増加規模が示されていない。保育士養成課程との整合性の検討も「引き続き」にとどまっており、制度改正のタイミングと実習体制の整備が連動しない可能性がある。
現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案
強み専門性の格差対策を制度に組み込む
強み専門性の認定審査において、大学規模・設置形態(国立・公立・私立)別の実態調査を先行させ、単科系・地方小規模大学が認定を受けられる最低限の選択肢として「複数大学連携型強み専門性」を正式に制度化する。現行の大学等連携推進法人制度の活用に限らず、より柔軟な合同教職課程の認定枠組みを設けることで、地域の教員養成機能の空洞化を防ぐ。
CBTを「確認手段」に限定し、評価の多元化を担保する
CBTは到達確認の補助ツールとして位置づけ、それ自体が教職課程の設計目標にならないよう運用指針を明確化する。「理論と実践の往還」という本文書自身の理念と整合させるため、省察的ポートフォリオや実習先評価との組み合わせによる多元的評価を正式に教職課程評価の枠組みに組み込む。
修士レベル化の実現に必要な勤務条件整備を政策パッケージとして提示する
専修免許状取得推進は、単位修得経路の整備のみでは機能しない。国として、現職大学院派遣の定員枠拡大・授業料免除の制度整備・派遣中の代替教員確保のための財政措置を明示し、それらを一体的な政策パッケージとして答申に盛り込む。単位逓減措置の実績要件についても、指導教諭以外の一般教員が活用できる実績類型(例:教員育成指標に基づく評価への一定期間の従事等)を追加する。
人事交流方針の実施目標・支援体制を教育委員会レベルで具体化する
特別支援学校と小・中・高校間の人事交流について、都道府県別の実施計画策定を義務づけ(または国として指針を示す)、人事上の措置が「配慮」にとどまらない実効性を確保する。同時に、人事交流中の専門性維持のための研修支援(遠隔・非同期型含む)を都道府県と大学が共同設計する枠組みを整備する。
免許状A・B区分の処遇上の影響についてガイドラインを事前策定する
免許状名称・付記分野の制度設計と並行して、A・B区分が採用選考・給与・職務分担に与える影響の範囲と上限を明示するガイドラインを策定し、区分が現場での不当な序列化に使用されない仕組みを制度的に担保する。
幼稚園の0〜2歳児対応について学修量・実習内容の具体案を示す
保育士養成課程等検討会との合同部会を設け、0〜2歳児対応に必要な発達・安全・健康管理の学修内容と最低単位数の試案を令和8年度内に作成する。幼稚園教諭免許と保育士資格の併有特例(令和11年度末まで)の終了スケジュールを念頭に、移行期の周知・支援策を自治体・養成校へ具体的に示す。
今後の教職課程や教員免許制度の在り方について(二次まとめ)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/121/1360150_00006.htm

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