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要約
本資料は、幼稚園教育要領・保育所保育指針・幼保連携型認定こども園教育・保育要領(3要領・指針)の改訂に向けた取りまとめ案を中心とした審議資料である。文部科学省とこども家庭庁の共同審議として開催された。
資料1:表形式化について
小学校以上の各教科等の学習指導要領改訂で検討されている表形式化(目標・内容を資質・能力の3つの柱で整理する形式)を、幼児教育の「ねらい」と「内容」にも適用する方向性が示された。ただし幼児教育においては資質・能力を個別に取り出して指導するのではなく、遊びを通した総合的な指導の中で一体的に育むものであるとして、小学校以上のように3つの柱で分けて示すのではなく一体的に示す方向が提案された。また、現行要領における「幼児期の教育における見方・考え方」の記述については「見方・考え方」としての位置付けを変更し、乳幼児も対象としつつ幼児教育が重視すべき遊びの過程として引き続き重視する方向が示された。
資料2:地域の体制の在り方
自治体において幼稚園・保育所・認定こども園に関する業務を所掌する部局の連携・調整が不十分な地域があること、また指導主事や保育指導職などの専門職員の育成・配置が不十分な場合が多いことが課題として挙げられた。方向性として、担当部局間の緊密な連携の推進、専門人材の育成・配置の促進、および全都道府県への幼児教育センター設置促進が提言された。幼児教育センターの機能として、アドバイザーによる施設への助言・援助、研修の実施(施設類型を問わず幼稚園教諭・保育士・保育教諭全員を対象)、架け橋期のカリキュラム作成支援などが列挙された。
資料3:取りまとめ案
改訂の中心概念は「遊びの深まり」の実現である。乳幼児の諸能力は自発的な遊びの過程において心身全体を働かせて様々なものや人と関わる体験を通して総合的に育まれるとし、この「遊びの深まり」を実現することが幼児教育の質の向上に不可欠であるとされた。
内容面では、0歳から18歳の学びの連続性を見通しつつ、特に次の3点の改善が打ち出された。(1)言葉を用いて考える力の基礎の育成、(2)他者と関わり協同する力の育成、(3)遊びの中での多様な動きの体験と身体感覚の育成。
評価については、全施設類型において乳幼児理解に基づく評価を行うことを規定し、ICTの活用については乳幼児の直接的・具体的な体験の充実を図る道具として活用することとし、体験を阻害する活用とならないよう留意点を示すとされた。
幼小接続については、幼稚園・保育所・認定こども園と小学校が共通の教育的視点に基づき「架け橋期のカリキュラム」を協働して作成し、それぞれの専門性を発揮した互恵的な教育の充実を図ることが求められるとされた。
現場視点の一般的な懸念
「遊びの深まり」の可視化・言語化要求の負担 「遊びの深まり」の実現を評価サイクルに組み込む設計は、遊びの中の「学び」を見取り記録・言語化し振り返ることを現場に求める。観察・記録・省察の質を高める方向性は正当だが、それを制度的に義務付けることで文書業務の増加につながるリスクがある。「記録の充実」が保育の時間を圧迫するという逆説的な事態は、すでに多くの現場で起きており、本改訂がその傾向を強化しないかが問われる。
資質・能力の構造化が「ねらいの形式化」を招く恐れ 「育みたい資質・能力」「3つの視点・5つの領域」「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の関係性を整理・構造化することは、教師の実践構想を支援する意図で提示されている。しかし、こうした枠組みの精緻化は一方で、子どもの姿をあらかじめ用意された概念に当てはめる形式的な実践を促しやすい。「姿」ありきの保育が横行した現行の反省が出発点のはずだが、構造化が細かいほど別の形の形式化を生む危険がある。
ICT活用の「留意点」の実効性 ICTについて「直接的・具体的な体験を阻害しない活用」「スクリーン利用の長期的影響への配慮」が明記されたことは一定の前進だが、「留意点を示す」という記述にとどまっており、実際の歯止めになるかは不明確である。現場ではICT導入の圧力(GIGAスクール構想との接続、保護者への発信ツールとしての活用期待など)が強く、留意点が形骸化しやすい。幼児教育の本質である身体的・対面的な体験の優先が、政策レベルで一層明確に担保される必要がある。
幼小接続における「幼稚園・保育所側への負担集中」 架け橋期のカリキュラムの協働作成において、幼稚園・保育所側が「対話のための資料」を作成・提供する役割を担う設計になっている。小学校が幼児教育の成果を受け取る構造のなかで、情報を整理し言語化して届ける実務は幼側に集中する傾向があり、「互恵的な充実」という理念と実態の非対称性が生まれやすい。現場規模の小さい保育所や私立幼稚園には特に深刻な課題となりうる。
地域格差の拡大リスク 幼児教育センターの全都道府県設置や専門人材(指導主事・保育指導職)の配置促進は重要な方向性だが、財政基盤の弱い小規模市町村や民間施設の多い地域では、これらの支援リソースへのアクセスに大きな差が生じうる。「設置促進を図る」「支援することが重要」という表現は努力義務レベルにとどまっており、実効性を担保する財政措置や制度設計が伴わなければ、格差の固定化につながる懸念がある。
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育ワーキンググループ(第8回)の配付資料を掲載しました
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/104/siryo/mext_00012.html


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