
要約
令和8年5月29日開催の第10回国語WGでは、高等学校国語科の再編に向けた二つの議題を審議した。
議題①:高等学校国語科の科目の在り方
第9回WGの議論を受けた見直しの方向性として、科目構成を以下のように整理している。
- 必履修科目(現行維持):「現代の国語Ⅰ」(2単位)+「言語文化Ⅰ」(2単位)
- 選択・標準科目(新設):「現代の国語Ⅱ」(4単位)+「言語文化Ⅱ」(4単位)
- 選択・発展科目(新設):「論説と批評」「対話と表現」「文学と叙述」「古典と文化」(各2単位)
標準選択科目を4単位とする根拠は、3領域の往還学習や多様な文章への接触に一定の時間が必要という判断による。教育課程の柔軟化の仕組み(増単・減単)を活用すれば、発展科目の複数履修も可能とする設計である。教材については、各科目の趣旨(「話や文章の機能(仮称)」)に合致するかどうかで判断する方針を示した。
議題②:高等学校国語科の目標・高次の資質・能力
論点1(目標)では、小中高共通の柱書を前提に、各科目の目標を必履修→選択標準→選択発展の三段階で深化させて示す方向性を提示。A系統(論理的思考力・コミュニケーション能力育成)とB系統(感性・情緒理解力育成)の二系統に分けて書き分ける整理をした。各科目の目標案(改訂案)の一覧も示された。
論点2(高次の資質・能力)では、〔思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮〕と〔知識及び技能の統合的な理解〕の二軸で各科目別・領域別に示す方向性を確認。企画特別部会から示された7つの精査観点(深まりの可視化、分かりやすさの追究、個別資質能力の精選等)を踏まえた継続検討が求められている。
現場視点の一般的な懸念
科目数・単位数の複雑化による時間割編成の困難 標準選択科目が4単位のままでは現行の「論理国語」等と同様に時間割に収まりにくく、現場が発展科目まで設定できない問題は解消されない可能性が高い。増単・減単の柔軟化は制度上の選択肢であっても、実際に運用できる学校は限られる。
「話や文章の機能(仮称)」の指導上の解釈負担 教材選定の基準として「科目の趣旨への合致」を強調するが、何が合致するかの判断は現場教師に委ねられる。仮称のままで告示される場合、解釈のばらつきが生じ、特に若手教師への指導支援が不十分であれば混乱を招く。
A系統・B系統の二分化が授業実践を硬直させるリスク 論理と文学・古典を系統別に分けることは科目の目的を明確にする一方、実際の読む・書く行為はそれらを截然と分けられない。二系統への整理が評価基準の硬直化や、教師が教材を「どちらの系統か」という観点でしか選ばなくなる形式的運用につながりうる。
◯評価の導入に伴う評価実務の増加 「学びに向かう力・人間性等」を「思考・判断・表現」の過程で表出した場合に「◯」を付ける方向性は、他教科WGと共通の横断的政策変更であるが、国語科は活動の種類が多く記録・判断の負担が特に大きくなることが予想される。
高次の資質・能力の記述が教師の授業構想に接続しにくい 「統合的な理解」「総合的な発揮」の文言は抽象度が高く、企画特別部会自身も「単元・授業づくりへの活用とのギャップがある」と認めている。学習指導要領本体の表形式化が進むほど、経験の浅い教師が具体的な授業をイメージしにくくなる逆説がある。
科目名の未確定が現場の準備を遅らせる 科目名が「全て仮称」のまま審議が進んでいるため、教科書編集・教員研修・シラバス設計のいずれも着手できない状況が続いている。名称確定の遅れが現場の準備期間を実質的に圧迫する。
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語ワーキンググループの配付資料を掲載しました
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