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要約
会議概要 令和8年5月21日(木)9:30〜12:00、文部科学省東館会議室及びウェブ会議による開催。議題は「芸術系教科・科目の資質・能力の育成等について」の1件。
資料1:芸術系教科・科目の資質・能力の育成等について
次期学習指導要領に向けた二つの論点が提示された。
論点1 伝統と文化に関する教育の充実
教育基本法・学校教育法を根拠として、芸術系教科における伝統・文化教育の充実が求められている。学習指導要領実施状況調査の結果によると、小学校では日本の音楽や地域の音楽への興味・親しみを「もつようになった」と回答した児童は約63%にとどまり、3割程度が否定的回答である。中高と学校段階が上がるにつれて否定的回答が増加する傾向も確認されている。図画工作・美術や書道においても同様に3割程度が否定的な状況にある。
改善の方向性(案)として以下が示された:
- 国際社会で活躍する日本人の育成を目指し、伝統や文化を継承・発展させる教育の充実
- 発達段階に応じて伝統や文化の意味・価値を見いだせるよう、「目標」「高次の資質・能力」「見方・考え方」において明確化
- 教科ごとの具体的充実(音楽:地域の音楽や担い手との関わり、図画工作・美術・工芸:伝統・文化を生かした発想・構想の深化、書道:表現と鑑賞の関連付け)
- 地域社会・文化施設・専門的人材との連携強化
- 解説・指導資料等への具体例の提示と教師研修の充実
論点2 多様な芸術や文化に関する学びの充実
舞台芸術(オペラ、演劇、能楽等)やメディア芸術(マンガ、アニメ、ゲーム、映像)を学校教育に取り込む方向性が議論された。1人1台端末の整備を踏まえたメディア芸術教育の拡充、教科等横断的な取組(例:学校紹介漫画の制作、サウンドロゴ制作、ポエティックフォト等)の事例が多数紹介された。改善の方向性として、デジタル学習基盤の活用による多様なメディア表現・発信機会の充実と、専門的人材・文化施設との連携強化が提示されている。
資料3:学習指導要領における部活動・地域クラブ活動の取扱いについて
令和7年12月策定の「部活動改革及び地域クラブ活動の推進等に関する総合的なガイドライン」を踏まえ、次期学習指導要領では「部活動」に加え「地域クラブ活動」についても新たに記載する方向性が示された。部活動については体罰・暴言等の防止や学校における働き方改革推進に関する記載の充実、地域クラブ活動については学校との連携事項等を解説で規定することとされている。
資料4:芸術ワーキンググループ取りまとめ骨子案(イメージ)
取りまとめの骨格が10項目にわたって提示された。主なポイントは以下の通り:
- 現行の成果と課題:資質・能力の3本柱による目標の明確化は進んだが、「芸術の学びの意義の実感」は児童生徒に十分に届いていない(例:「音楽の授業で学んだことは生活にいかせる」と肯定的に回答した小学生は55.5%)。
- 改善の方向性(総論):知性と感性の融合、身体性を伴う技能の重視、表現・鑑賞の往還による深い学びの実現、言語活動・協働学習の充実が方向性として示された。
- 見方・考え方の整理:「感性や想像力を働かせ、対象や事象を文化等の視点で捉え、意味や価値を見いだす/つくりだす/追求すること」として教科系統ごとに統一的に整理。
- 資質・能力の構造化:「並行パターン」(「知識及び技能」が「思考力・判断力・表現力等」の深まりを助ける構造)で整理し、「A表現」「B鑑賞」の2領域を維持。
- 内容の精選:音楽は小学校で「歌唱・器楽」を統合、書道は〔共通事項〕へ精査する方向。高等学校芸術科では科目の導入・まとめ段階に「芸術そのものを学ぶ機会」を設定。
- 学習評価の改善:短い題材での3観点全記録という形骸化した運用を見直し、複数題材・単元にまたがる総括的評価の導入と、形成的評価を中心とした運用への転換を提言。
現場視点の一般的な懸念
① 「伝統と文化」教育の強化要求と指導リソースの乖離 伝統音楽(和楽器・民謡・唱歌等)や伝統工芸・書道についての指導充実が求められているが、資料が示す通り、小学校で「和楽器の指導に必要な楽器が揃っている」と肯定的に回答した教師は4〜6割にとどまる。楽器の予算確保・専門的技能を持つ教師の育成が追いつかない状況で「充実」だけを要求することは、現場へのコスト転嫁に他ならない。外部人材連携も「連携すること」と記述されるが、コーディネートの負担は実質的に学校が担う。
② 「見方・考え方」の統一化と教科固有性の空洞化リスク 取りまとめ骨子では音楽・図画工作・美術・工芸・書道の「見方・考え方」が共通フレーム(「感性や想像力を働かせ……意味や価値を~すること」)に収斂している。文言の統一化は説明上の整合性を高めるが、各教科固有の感覚的・身体的体験の質的差異が希薄化し、「どの教科も同じ言葉で語られる」テンプレート化が進む危険がある。教師が指導の拠り所を失いやすい。
③ 評価改善案の「総括的評価の集約化」が現場に通じるか不明確 学習評価の改善として「複数題材・単元でまとめて総括的評価を行うことも可能」と提示されているが、成績処理・指導要録記入・保護者説明のいずれにも、学校として年間の評価計画の再設計と説明責任が伴う。「可能」という記述が学校裁量として機能するか、それとも「やれと言われていない=やらなくていい」と受け取られるかが不明確であり、現場運用での混乱が予想される。
④ デジタル学習基盤活用と「身体性」の二律背反を解消する具体策の欠如 骨子案では「身体性を基本とする人間の能力を前提とした上でICTを活用」と繰り返し強調されているが、ICT活用の「適切な」範囲をどう判断するかの基準は示されていない。生成AIについても「発達の段階を考慮しつつ」という注記のみで、具体的なガイダンスがなく、授業設計の判断は教師に丸投げされている。
⑤ 「多様なメディア芸術」の授業実装における時数・教材・専門性の問題 マンガ・アニメ・ゲーム・映像等のメディア芸術を芸術系教科に取り込む方向性が示されているが、現行の総授業時数の枠内での実装は困難だと資料自体が認めている(「総授業時数の枠の中で学びを深めることの難しさ」)。教科書への反映、教師の専門性確保、著作権処理等の問題が積み残されており、「充実を図ること」という方針だけでは現場は動けない。
⑥ 部活動・地域クラブ活動の「学習指導要領への記載」が生む新たな管理責任の発生 地域クラブ活動は「学校以外の団体等が主体」とされながら、学習指導要領に記載することで学校が連携・協働の義務を負う構造となる。「希望する教師の兼職兼業」「学校施設の有効活用」等の具体事項が解説に委ねられているが、学校は実質的に調整主体となり続けるリスクがある。改革が目指す「学校負担の軽減」とは逆方向に作用する可能性が懸念される。
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会芸術ワーキンググループ(第9回)の配付資料を掲載しました
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/113/siryo/mext_00009.html

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