令和7年度 外国人の子供の就学状況等調査の結果について(文部科学省、令和8年5月25日)

要約

調査概要

文部科学省は、全国的な外国人の子供の就学実態の把握を進め、全ての外国人の子供に教育機会が確保されるよう取り組んでいく必要があることから、令和元年度に初めて全国的な「外国人の子供の就学状況等調査」を実施しており、今回が第6回目の調査となる。

調査基準日は令和7年5月1日。調査対象は市町村教育委員会(特別区を含む)1,741。

主な調査結果

就学者数の推移

学齢相当の外国人の子供の数および義務教育諸学校への在籍数は、ともに調査開始以来最多。不就学の可能性のある子供の数は、前回調査から723人増加している。

令和7年度における住民基本台帳上の学齢相当外国人の子供の人数は177,726人(前回調査より14,368人・8.8%増加)。義務教育諸学校在籍数は150,786人、外国人学校在籍数は11,949人。不就学は911人(前回の1,097人より186人減少)。一方、不就学の可能性がある子供の合計(不就学+就学状況把握できず+住民基本台帳人数との差)は9,153人で、前回調査より723人増加。

就学促進の取組状況

住民登録手続きの際に就学希望の有無にかかわらず全ての者に就学に関する説明を行っている自治体は55.4%。

就学案内を小学校新入学相当の年齢の家庭に送付している自治体は81.9%、中学校新入学相当には62.6%。送付していない自治体は18.1%。

住民基本台帳システムと連動した学齢簿システムを外国人の子供にも適用している自治体は79.0%。

就学促進に係る支援として「特に実施していない」と答えた自治体は53.1%と過半数を占める。実施している取組では「幼稚園・認定こども園等への就園機会の確保」(20.0%)が最多で、「就学ガイダンス」(13.5%)、「外国人を対象とした相談窓口の設置」(12.8%)などが続く。

各種規定の整備状況

教育委員会の規則に「外国人の子供の教育」に関する規定が置かれている自治体は7.2%にとどまり、92.8%は規定なし。

今後の対応

令和2年策定の「外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」に基づく取組がさらに進むよう周知するとともに、「外国人の子供の就学促進事業」の活用等により、地方公共団体が行う就学状況把握および就学促進のための取組推進を図る。

現場視点の一般的な懸念

① 「不就学の可能性がある子供9,153人」の実態把握の限界 不就学の可能性があるとされる9,153人のうち、「就学状況把握できず」(連絡不通・不在)が8,013人と大半を占める。把握できていない子供が「教育を受けていない」のか「把握の網の目から漏れているだけ」なのかが区別できず、現場が本当に介入すべき子供の数が見えない。住民基本台帳との差(229人)も参考値であり、実態の深刻さを過小評価している可能性がある。

② 就学促進支援「特に実施していない」自治体が過半数 53.1%の自治体が就学促進支援を何も実施していないと回答している。外国人の子供が1〜9人しかいない小規模自治体でも同様の傾向があるが、少数であるほど個別事情が深刻になりやすい。支援の有無が子供の人数規模と強く連動しており、小規模自治体における制度的空白が常態化している。

③ 就学案内の多言語対応の形式化 就学案内を送付している自治体のうち、日本語のみで送付しているのが74.8%。ポルトガル語(9.3%)・スペイン語(6.2%)・ベトナム語(5.5%)など実際の在住外国人の主要言語への対応はなお低水準にとどまる。言語の壁が就学機会の不平等に直結しているにもかかわらず、翻訳対応の整備が需要に追いついていない。

④ 法的義務のなさが制度全体の脆弱性を生む 本調査でいう「就学」は外国人には義務ではない。そのため就学促進は「勧奨」にとどまり、継続的な家庭訪問・電話確認を行っている自治体は30〜32%程度に過ぎない。就学しないことを選択した家庭への介入手段がなく、不就学の固定化を構造的に放置することになりかねない。

⑤ 学校現場への人材確保の困難と支援の属人化 自由記述では複数自治体が「日本語指導員の確保が困難」「予算はあるが人がいない」と報告している。通訳ボランティアや外部人材に頼る体制は継続性が低く、外国人児童生徒の支援が担当者個人の努力や地域のリソースに依存する状況が続いている。制度として整備されているように見えて、実質は個々の現場の踏ん張りで成り立っている構造は変わっていない。

⑥ 規定整備の遅れと「任意対応」の制度化 外国人の子供の教育に関する規定を持つ自治体はわずか7.2%。規定がなければ担当者が変わるたびに対応の質が変動し、就学支援が「制度」ではなく「慣行」として運用されやすい。外国人児童生徒が500人以上いる自治体でも規定整備率は25%にとどまり、受入規模に対して制度整備が追いついていない実態がある。

「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」の結果について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/09/1421568_00006.htm

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