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要約
今回の資料で学校現場に最も影響が大きい論点は、個票データ・匿名データの「利用期間」が2年間から延長を含め通算5年間に拡大されたことと、「特定の学校又は設置管理者を対象とする研究等」において対象校・設置管理者の同意が公表条件として明文化されている点である。データそのものを扱うのは研究者・教育委員会・文部科学省であり、教員が直接操作する制度ではないが、自校の児童生徒データが誰にどれだけの期間貸与されているかを学校側が把握しにくい構造は変わっておらず、今回の改定でその期間がさらに伸びたことは看過できない。
会議は令和8年9月25日にオンラインで開催され、議題は「集計結果データの貸与に係るガイドラインの改定について」「貸与・申出の状況(非公開)」「個別審査(非公開)」の3点。配付資料としてガイドライン改定の概要(資料1)と、個票データ編・匿名データ編それぞれの改定後ガイドライン全文(資料1-1、1-2、いずれも令和8年9月15日一部改定)が示された。
改定の趣旨は、専門的な分析や学術誌への投稿・査読等により研究期間が長期化する一方、現行制度では利用期間に上限があり実質的に同一内容の再申請が生じていたこと、申出時期の柔軟化、パブリックユースデータ整備を踏まえた規定整理の必要性である。主な改定内容は3点。①利用期間の見直し(当初申請の上限は3年間で変更なしだが、1年ごとの延長により通算最大5年間まで利用可能に拡大。改定前は通算2年間が上限だった)。②申出受付の通年化(従来の年3回の受付期間から年間を通じた受付へ変更、事前相談も年間を通じて可能)。③匿名データ編における教育目的規定の削除(統計教育や分析トレーニング用のパブリックユースデータ〔疑似データ〕の整備が進んだことを背景とする規定整理)。
個票データ編の主要な規定としては、申出者の範囲を大学等・独立行政法人・公的機関等に所属する常勤研究者及び常勤の役員・職員に限定し大学院生を除外する一方、利用者の範囲には非常勤研究者・大学院生を含めている。適正管理措置は組織的・人的・物理的・技術的の4分類で詳細に規定され、外部ネットワーク非接続、複写は1回限定、利用終了後の消去義務などが定められている。利用期間延長の審査では、延長理由の合理性、適正利用の確保、研究成果の達成見込みなどが審査基準となり、研究目的・方法・利用者・利用環境に変更がなく査読対応等のやむを得ない事由による延長であれば有識者会議の審査を省略できる。
研究成果の公表基準では、特定の学校等を対象としない場合、児童生徒数10未満の集計単位、学校・設置管理者数3未満の集計単位を原則として含まないことが条件とされる。一方、特定の学校等を対象とする研究等の成果を公表する場合は、対象校等全ての同意を得た上で研究計画について有識者会議の審査を経て文部科学省に承諾されていること、設置者コードが明らかにされていないことなどが求められる。不適切利用(返却期限の違反、セキュリティ要件違反、紛失・漏えい、目的外利用、承諾外の者による利用等)があった場合は、一時停止・貸与禁止・氏名等の公表といった措置が講じられる。匿名データ編もほぼ同様の枠組みだが、申出者の範囲に大学院生を含み、審査は有識者会議ではなく文部科学省が行い実績を有識者会議に報告する点、教育目的規定が削除された点が個票データ編との相違である。
現場視点の一般的な懸念
- 利用期間が「通算2年間」から「通算5年間」に延長されたことで、児童生徒の個票データ・匿名データが学外の研究者の管理下により長期間置かれ続けることになり、教育委員会・学校側が自分たちの提供したデータが現在どこでどう扱われているかを追跡する機会がさらに乏しくなる。
- 「特定の学校又は設置管理者を対象とする研究等」の成果を公表する場合、対象校等全ての同意が公表条件(第9条2(2))とされているが、校長等の学校管理職が研究倫理上の妥当性をどう判断すべきかの基準や相談窓口は資料中に示されておらず、現場が単独で同意判断を迫られる恐れがある。
- 秘匿基準は「児童生徒数10未満」「学校・設置管理者数3未満」の集計単位を原則として含まないこととされているが、あくまで「原則として」の運用であり、過疎地・離島など小規模校が集中する地域では基準を数値上満たしていても実質的に学校が特定されうるリスクが残る。
- 申出受付の年間通年化と、過去に承諾した申出と同様の内容であれば有識者会議の審査を文部科学省の判断のみで省略できる仕組みの拡大により、審査プロセスの外部からの可視性が下がり、教育委員会が自地域のデータがどの研究に貸与されているかを把握する機会がさらに減る懸念がある。
- 特定中間生成物(集計済みで個人・学校が識別されないファイル)については利用者間でオンライン受け渡しが認められているが、受け渡しを行う組織の情報セキュリティ体制の実効性を第三者が確認する仕組みが明確でなく、漏えいが発生した際に対象校側が説明責任を問われかねない。
現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案
- 文部科学省は、利用期間延長(最大5年間)が承諾された案件について、対象となった都道府県・設置管理者へ年1回程度の利用状況通知を制度化し、学校側が自校データの利用継続状況を把握できるようにするべきである。
- 教育委員会は、特定の学校等を対象とする研究等への同意判断を校長が単独で行わないよう、教育委員会内に研究協力の適否を審査する相談窓口を設置し、判断基準(研究目的の妥当性、公表方法、児童生徒への影響)を明文化するべきである。
- 文部科学省・有識者会議は、秘匿基準(児童生徒数10未満、学校数3未満)における「原則として」の例外運用の判断基準を明確化し、小規模校が集中する地域向けの補足ガイドラインを別途整備するべきである。
- 文部科学省は、有識者会議の審査を省略した申出の件数・概要を年次報告として都道府県教育委員会等に公開し、審査プロセスの透明性を確保するべきである。
- 学校及び教育委員会は、特定校対象の研究協力に同意する前に、申出者側の適正管理措置(技術的・物理的管理体制)の開示を求める確認手続きを教育委員会内規等で明文化し、同意判断の材料を整えるべきである。
※この文章はAIで作成されています。あくまで参考としてお読み取りいただき、事実関係、内容の妥当性の確認はリンク先の原典を当たるなど各自の判断でお願いします。
「全国学力・学習状況調査」の集計結果データの貸与に関する有識者会議(令和8年度第1回)配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/209/siryo/mext_02352.html


