
要約
今回の議事録は経済産業省・文部科学省合同の大学政策の議論であり、義務教育・高校現場に直接の制度改正をもたらすものではない。しかし編集部が最も注目すべきだと考える論点は、「契約学科」「INSIGHT事業」といった産学連携型の新しい学科・人材育成スキームや、大学と地域産業クラスターを一体化させる「経済圏への深い貢献」という要件が、今後の高校の進路指導・探究学習・地域連携の在り方に波及する可能性がある点である。制度の詳細は9月の第3回WG以降に固まっていく段階であり、現場に情報が下りてくるタイミングと中身を今から注視する必要がある。
会議は令和8年7月30日、経済産業省本館で文科省・経産省合同のワーキンググループ第2回として開催された。事務局資料では、大学群に求める要件として(一)産業競争力強化へのビジョン、(二)ガバナンス・経営力、(三)研究力・人材、(四)経済圏への深い貢献の4論点が示され、今回は(一)と(四)を中心に議論された。前回議論を踏まえ、中長期の支援期間の必要性、成果連動の視点、評価方法・体制の重要性などが論点として整理されている。
経団連の小川委員は、5月公表の「科学技術立国戦略」を踏まえ、企業の「コストカット型」経営から「投資牽引型」経営への転換、大学に対する中長期支援制度の必要性、OISTのようなグローバル基準の人材・採用制度の横展開を提言した。本大学群に期待する役割として「価値創造人材の育成・輩出」「世界に冠たる研究力の確立」「研究成果の社会実装・産業競争力強化」の3点を挙げ、評価は論文数だけでなく人材育成・産学連携・地域貢献など多様な視点を取り入れるべきとした。日本成長戦略の17分野と大学の強みを結びつけることも求めている。
三井不動産の湯川部長は、ピッツバーグ、トリノ、マディソンなど米欧の中規模都市の産学連携エコシステム事例を紹介し、「文化・教育基盤」「アカデミアの強みと産業基盤」「つなぐ人(カタリスト)」「場の整備主体」「資金」の5つのポイントを提示した。資金面では、日本は欧米のような寄附文化が根づいておらず補助金依存が強いため、台湾・韓国を参考にした「契約学科」の仕組みが新たな資金調達・人材獲得手法として期待されると述べた。
委員討議では、野口委員が博士人材の産業界への輩出策として、文科省のINSIGHT事業(産業・科学革新人材事業)による研究開発と人材育成の一体的推進の加速を求めた。益委員は人材育成を最重要評価指標とし、理工系博士だけでなく政策形成を担う人文社会系の修士・博士、医師資格を持つ研究者の育成も評価すべきと述べた。折茂委員・野口委員はともに、大学群の姿は一律のモデルではなく大学の強みや地域特性に応じた多様な姿があるべきだと強調した。久世委員はクロスアポイントメントや兼業制度について、制度は存在するものの運用面では依然として制約が大きいと指摘し、政府に見直しを求めた。
宮園CSTI議員からは第7期科学技術・イノベーション基本計画の観点として、新興・基盤技術領域として17分野が選定され、その中の国家戦略技術領域としてAI・先端ロボット、量子、半導体・情報通信、バイオヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙の6領域が挙げられていること、日本の博士号取得者数がこの20年間横ばいであることが紹介された。制度の予算規模については野口委員が「適切な規模感のある採択校数に応じた予算規模」を概算要求時期に合わせて求めており、事務局からも予算要求に向けて検討を進める旨が述べられた。次回第3回ワーキンググループは9月に開催予定とされている。
現場視点の一般的な懸念
- 益委員が博士人材育成の重要性として理工系だけでなく人文社会系や医師資格を持つ研究者の育成も評価すべきと提言しているが、こうした高度人材育成の方向性が高校の進路指導現場にどう伝わり、生徒の進路選択情報に反映されるかの道筋が資料上示されておらず、現場では『中核大学群』の位置づけを知らないまま指導することになりかねない
- 湯川部長の提言や野口委員の指摘にある『契約学科』(台湾・韓国を参考にした新しい産学連携型学科・資金調達手法)が導入されれば、高校側は学科選択の指導材料として新しい制度を理解する必要が生じるが、資料には高校・教育委員会向けの周知ルートについての言及がない
- 折茂委員・野口委員が『一律のモデルではなく大学の強みや地域特性に応じた多様な姿』を求めているため、中核大学群の性格が地域ごとに大きく異なることになり、教育委員会が地元の生徒に進路情報を提供する際、大学ごとの取組の違いを把握する負担が増す懸念がある
- 野口委員が『採択校数に応じた予算規模』を概算要求時期に念押ししているとおり、制度の規模・対象校数はまだ確定しておらず、高校・教育委員会が中長期の進路指導計画(3年後を見据えたキャリア教育プログラム等)を立てる際の前提情報が定まらない
- 久世委員が指摘したように、クロスアポイントメントや兼業制度は存在しても運用面の制約が大きく、大学教員の産学間流動が進むと、高大連携の窓口となっている大学教員が異動・兼業で変わりやすくなり、高校側が築いてきた連携体制が不安定になるおそれがある
現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案
- 文部科学省は、中核大学群の人材育成方針(人文社会系博士・医師研究者育成を含む)が固まり次第、教育委員会向けの説明資料・研修機会を早期に設け、高校の進路指導部に情報が届く体制を整えるべきである
- 各大学は、契約学科やINSIGHT事業など新設の産学連携スキームについて、高校の進路指導教員向けに平易な説明資料を作成し、教育委員会を通じて周知する取組を行うべきである
- 教育委員会は、地域未来戦略の17分野と結びついた地元の中核大学群構想の内容を把握し、高校の探究学習・キャリア教育と連動させるための大学・自治体との協議の場を設置すべきである
- 国(文科省・経産省)は、9月の第3回ワーキンググループ以降、採択校数・予算規模の見通しをできるだけ早く示し、高校・教育委員会が数年先を見据えた進路指導計画を立てられるようにすべきである
- 各大学は、クロスアポイントメント等で担当教員が変わる可能性を踏まえ、高校との連携窓口を特定の個人研究者に依存させず、産学連携部門など組織単位で維持する体制を整備すべきである
※この文章はAIで作成されています。あくまで参考としてお読み取りいただき、事実関係、内容の妥当性の確認はリンク先の原典を当たるなど各自の判断でお願いします。
産業競争力・研究力中核大学群に関するワーキンググループ(第2回) 議事録
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu31/001/gijiroku/1422208_00001.htm


