【現場視点】中央教育審議会初等中等教育分科会(第154回) 配付資料

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要約

本資料は、令和8年9月1日(火曜日)16時00分から18時00分まで、文部科学省会議室(3F1特別会議室)にてZoom Webinarを用いたハイブリッド形式で開催された中央教育審議会初等中等教育分科会(第154回)の配付資料一式である。議題は「部会の設置について」「第4次学校安全の推進に関する計画の策定について」「令和8年度全国学力・学習状況調査の結果等について」の3件に加え、参考資料として令和9年度概算要求関連資料、経済財政運営と改革の基本方針2026・日本成長戦略2026の抜粋、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議報告書等が添付されている。

第一の議題「部会の設置について」(資料1)は、初等中等教育分科会運営規則等に基づき、教育課程部会、教員養成部会、教師を取り巻く環境整備特別部会、学校安全部会の4部会を分科会の下に設置することを確認するものである。学校安全部会は、後述する第4次学校安全の推進に関する計画の策定という新たな諮問事項に対応するために設置される部会である。

第二の議題は、文部科学大臣から中央教育審議会に対して令和8年8月21日付でなされた「第4次学校安全の推進に関する計画の策定について」の諮問(資料2-1)である。学校保健安全法に基づき国が策定する学校安全の推進に関する計画は、平成24年の第1次計画以降、平成29年に第2次、令和4年に第3次と改定を重ねており、現行の第3次計画(令和4~8年度)が令和8年度末で計画期間を終えることを受けた改定作業である。諮問理由では、能登半島地震・熊本地震等の大規模災害を踏まえた防災教育の充実、猛暑による熱中症リスクへの対応、不審者侵入や登下校時の事件・事故、クマ等鳥獣被害、SNSに起因する犯罪被害や性犯罪・性暴力対策としての「生命(いのち)の安全教育」、弾道ミサイル発射等の国民保護事案やサイバーセキュリティ対策といった多岐にわたる論点が挙げられ、これらを踏まえた①社会状況の変化への対応、②安全教育の教育活動全体を通じた推進と全国的な質の向上、③安全管理のための組織体制整備と教職員の資質能力向上、④その他必要な取組、という4つの柱に沿った審議が求められている(資料2-2)。あわせて、令和8年3月の京都府内高校での校外活動中の死傷事故、令和8年5月の部活動遠征バスによる死傷事故、令和8年6月の東京都北区小学校での火災、クマによる被害といった直近1年間に相次いだ具体的な事案とそれを受けた文部科学省の対応(校外活動の安全確保徹底通知、学校教育等に関する移動の安全確保のための対策、防火防災に係る安全点検等の実施依頼、クマ被害防止対策)が資料2-3にまとめて示されている。特に部活動遠征バス事故を受けた「移動の安全確保のための対策」では、貸切バス・タクシー・公共ライドシェア・スクールバス・自家用車・レンタカーという移動手段の類型ごとに、車両・運転者の手配主体と確認すべき留意事項(法令上の許可・登録の確認、契約内容の書面化、安全管理チェックシートの活用等)が詳細に整理されている。学校安全部会の審議日程(資料2-4)は、令和8年9月9日の第1回から令和9年1月28日の第6回まで6回の会合で答申案をまとめ、令和9年3月までにパブリックコメントを経て第4次計画を閣議決定するというスケジュールで組まれている。

第三の議題は、令和8年度全国学力・学習状況調査の結果等についてである(資料3)。今年度は令和8年4月20日から5月29日にかけて小学校6年生・中学校3年生を対象に実施され、教科調査(国語・算数/数学、英語は中学校のみ)と質問調査(児童生徒・学校)が行われた。今年度の特徴として、中学校英語の4技能調査が全面CBT(Computer Based Testing)化されたこと、小学校児童質問調査でランダム方式が導入されたことが挙げられる。教科別の平均正答率は小学校国語61.1%、算数56.6%、中学校国語64.2%、数学57.4%で、中学校英語はIRT(項目反応理論)スコアで4技能統合499、3技能502(男女別では聞く・読む・書くが490、話すことを含む3技能が510)であった。中学校英語のCBT実施状況では、聞く・読む・書くの調査を完了した学校が全体の99.6%(調査実施日完了98.0%+後日実施1.6%)に上る一方、ネットワーク・端末未整備や準備面の理由で実施できなかった学校も一定数存在したことが示されている。教科ごとの課題としては、国語では引用による自分の考えの表現や、読んだ内容に基づく考えの確かめ、算数・数学では立方体の体積の求め方や基準量・比較量・割合の関係の理解、2直線が平行になる条件の理解、英語では自分の考えの理由を書く・話すことに、それぞれ課題があることが具体的な設問・正答率とともに示された。質問調査結果では、ICT機器活用への自信、授業内容の理解度、「読書は好き」といった項目と各教科の正答率・スコアとの間に正の相関が見られる一方、平日のSNS・動画視聴時間の長さとは負の相関が示されている。資料の末尾では、学習指導要領の着実な実施やGIGAスクール構想の推進、教師を取り巻く環境整備(35人学級化や教科担任制拡充、働き方改革、校務DX推進等)といった文部科学省の主な取組一覧に加え、令和9年度からの全教科CBT化に向けた工程表(案)や、教育委員会・学校における調査結果の活用について定めた令和8年8月3日付通知の内容が示されている。

参考資料としては、令和9年度概算要求主要事項・概算要求のポイント(初等中等教育局関連)のほか、「経済財政運営と改革の基本方針2026」及び「日本成長戦略2026」の初等中等教育関係記載の抜粋、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議(令和7・8年度)報告書及びその概要、第13期中央教育審議会初等中等教育分科会委員名簿が添付されている。

現場視点の一般的な懸念

  • 学校安全部会の審議期間の窮屈さ:令和8年9月9日の第1回から令和9年1月28日の第6回答申案まで、実質4カ月半・6回の会合で、能登半島地震級の大規模災害対応から熱中症対策、SNS性犯罪対策、クマ被害対策、組織体制整備、教員研修まで、諮問理由に列挙された広範な論点をすべて審議し尽くさなければならない。しかも令和9年3月までのパブリックコメントを経た閣議決定という期限が既に定められており、個別論点ごとの掘り下げよりもスケジュール優先の審議になりかねない。
  • 移動時安全対策の実務が学校管理職・引率教員に集中する構造:部活動遠征バス事故を受けた「学校教育等に関する移動の安全確保のための対策」では、貸切バス・レンタカー・自家用車それぞれについて、法令上の許可・登録確認、見積書・契約書等の書面確認、安全管理チェックシートの活用、運転者の適格性の事前確認などが細かく求められている。しかしこれらの確認・記録・事前承認の実務を実際に担うのは学校の管理職や引率を担当する教員であり、部活動指導や通常の校務に加えて、契約実務や車両・運転者の適格性審査という専門性を要する業務が積み増しされる形になっている。
  • 相次ぐ個別事案対応通知の積み重ねと危機管理マニュアル改訂の負担:令和8年3月の校外活動事故、5月の移動時事故、6月の火災と、事案発生の都度、文部科学省から個別の通知・対策(校外活動の安全確保徹底、移動の安全確保対策、防火防災に係る安全点検実施依頼)が発出されており、各学校はそのたびに危機管理マニュアルの点検・改訂を求められている。個別事案への後追い的な対応の積み重ねが、第4次計画で目指される体系的な学校安全の推進とどのように整合し、統合されていくのかが見えにくい。
  • 全国学力調査の英語CBT化における学校間の実施環境格差:中学校英語のCBT実施状況では、「聞く・読む・書く」調査でネットワーク・端末の理由により実施できなかった学校が存在し、準備面の理由(MEXCBT登録申請の遅れ等)による未実施校も一定数見られる。令和9年度からは全教科でCBT化が予定されているが、通信環境やICT機器の整備状況の違いが、調査参加率や結果の比較可能性に地域・学校間の格差をもたらす可能性がある。
  • 学力と生活習慣の相関データが示される一方、具体的な介入策は啓発レベルにとどまる:SNSや動画視聴時間が長い児童生徒ほど正答率・スコアが低い傾向、ICT機器活用への自信や読書習慣が正答率と正の相関を持つ傾向など、詳細な相関データが示されている。しかしこれを踏まえた文部科学省の取組は「情報モラルポータルサイトでの動画教材提供」「親子のルールづくりの推奨」といった啓発活動が中心であり、学校が家庭の生活習慣にどこまで、どのように働きかけられるのかという実務上の難しさへの答えにはなっていない。
  • 記述式問題の課題が繰り返し指摘される一方、指導改善は各学校・教員の裁量に委ねられている:国語における引用や根拠の明示、算数・数学における図形や割合の理解、英語における理由を伴う記述・発話など、思考を言語化して伝える力に関する課題が教科横断的に共通して見られた。これに対する処方箋は「意識させることが重要」「工夫して実践すること」といった総論的な指導改善の呼びかけにとどまり、限られた授業時数の中で具体的にどのような単元計画・指導方法に落とし込むかは、各学校・教員の力量と準備時間に依存する部分が大きい。

現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案

  • 学校安全部会の審議論点への優先順位付けと柔軟な会期運営:6回の会合で全論点を均等に扱うのではなく、緊急性の高い論点(大規模災害対応、移動時安全確保の制度化等)と中長期的な検討を要する論点(安全教育の全国的な質の底上げ、教員研修体系の見直し等)を区別し、必要に応じて答申後も継続検討する項目を明示するなど、期限ありきで拙速な結論に至らないための審議設計を行う。
  • 移動時安全対策の実務負担を軽減する標準様式・デジタルツールの整備:契約書面の確認、安全管理チェックシートの記入、運転者の適格性確認等について、学校が個別に様式を作成しなくて済むよう、国が標準テンプレートやデジタル入力フォームを提供し、教育委員会レベルで一括して交通事業者情報や運転者確認手続きを支援する仕組みを整備することで、現場の教職員の事務負担を軽減する。
  • 危機管理マニュアル改訂プロセスの一元化と年次点検の制度化:個別事案対応の通知を都度発出するだけでなく、年1回程度、それまでに蓄積された通知・対策をまとめて反映する「危機管理マニュアル年次更新ガイド」のような形で整理し、学校が通知が出るたびに逐次改訂に追われるのではなく、計画的にマニュアルを見直せるようにする。
  • CBT化に向けたネットワーク・端末環境整備の財政支援と経過措置:令和9年度からの全教科CBT化に先立ち、実施できなかった学校の状況(ネットワーク・端末の理由)を分析した上で、整備が遅れている学校・自治体に対する優先的な財政支援を行うとともに、当面の間はPBT(紙媒体)による代替実施を認める経過措置を明確化し、調査参加の公平性を確保する。
  • 相関データを踏まえた具体的な家庭連携プログラムの制度化:SNS・動画視聴時間と学力との相関について、啓発動画の提供にとどまらず、学校・PTA・地域が連携して取り組める具体的なプログラム(家庭学習と生活習慣を一体的に扱う保護者向け説明会のモデル、地域未来塾等既存事業との連携強化等)を国がモデル事業として示し、学校単独では対応が難しい家庭への働きかけを制度的に後押しする。
  • 記述式指導改善のための教材・研修の全国的な提供:国語・算数・数学・英語で共通して見られた「理由や根拠を示して書く・話す」力の課題について、教科横断的に活用できる指導事例集や単元設計モデルを国立教育政策研究所等が作成し、教員研修プラットフォーム「Plant」等を通じて全国の教員が参照・活用できる形で提供することで、指導改善が個々の教員の力量や準備時間に依存する度合いを下げる。

中央教育審議会初等中等教育分科会(第154回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/1416449_00038.htm

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