【現場視点】デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議・第5回議事録

【現場視点】デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議・第5回議事録 アイキャッチ

要約

第5回会議で最も学校現場に影響が大きいと思われる論点は、2030年度(令和12年度)導入をターゲットとした「教科書形態の学年・教科ごとの振り分け方針」と、その裏側で明らかになった「アクセシビリティ・ニーズの把握格差」、そして採択・発行の実務負担が効率化の掛け声とは裏腹に都道府県・市町村レベルで再燃しかねないという3点である。特に、フルデジタル教科書の対象学年を「一定学年以上に限定」という抽象的な表現にとどめたまま議論が進んでいる点、音声教材の需要数調査(小中合計約1万2,000人)と読み困難の推計値(約22万人)との間に極めて大きな乖離がある点は、現場の教員・管理職が2030年度の制度開始に向けて何を準備すべきか判断しづらい状況を映し出している。

事務局(後藤教科書課長)は資料1で、これまでの論点整理として、小学校低・中学年は紙を基本としつつ、高学年以降はデジタル活用が効果的になり得るとする発達段階論を示した。採択権者への意向調査では、全学校種・全教科でハイブリッド形態を望む回答が最多だったが、低中学年では紙に比重を置いたハイブリッドを望む声が多く、高学年・中学校では教科によってデジタル比重や「全てがデジタル」を望む回答が一定割合存在するという結果が改めて共有された。事務局は、フルデジタル教科書について「発達段階ごとの認知処理能力の違いを踏まえ、対象学年を一定学年以上に限定することが考えられる」との論点を提示し、ハイブリッド教科書についても教科・学年に応じてデジタル比重/紙比重のいずれかが適する場合があるとした。堀田座長は、2030年度に導入される教科書が「ファーストケース」であり、その後約4年ごとに見直しが行われる前提であることを確認した。

中川座長代理は、国語の説明文教材を例に、端末画面本文への書き込み(マーキング、色分け、レイヤーのオンオフ表示、部分的な不透明色での「消し込み」による精査)が、紙では構造的に不可能な機能として学習効果を持つことを、令和7年度の大規模アンケート調査結果(「いつも使う」グループが内容理解・主体的な学び・探求的な学びで「当てはまる」と回答した割合が最も高く、国語で特に顕著)とともに紹介した。これに対し委員からは、髙瀬委員が「小学校のフルデジタルは高学年以上」「英語等の実技系教科に限定」、松谷委員が「低学年は紙、中高学年からデジタル」、工藤委員が「中学校はハイブリッド基本、フルデジタルには慎重」、内田委員が「高校は情報・英語・実技系でフルデジタルの可能性」といった意見を述べ、柴田委員は多機能性がもたらす注意の分散や「機能に関する発話」の増加リスクを指摘した。

アクセシビリティに関しては、事務局が現行のデジタル教科書標準仕様(拡大・ルビ・色反転・リフロー・音声読み上げ)に加え、新たな教科書では動画・音声への対応(再生速度調整・字幕表示)を仕様に盛り込む方針、およびハイブリッド教科書の紙部分に困難がある児童生徒向けに、フルデジタル版を教科書バリアフリー法上の教科用特定図書等として無償給与対象にする仕組みを説明した。近藤武夫教授(東京大学)は、短期・中期・長期の3段階提案を行い、通常の学級の小中学生の3.5%(約30万6,000人)が読み書きに著しい困難を示すという文科省調査を踏まえ、政策検討用に読みニーズを仮置きで2.5%(約22万人)と見積もる一方、令和8年度の音声教材需要数調査では小中合計約1万2,000人しか申請ベースで把握されていないという大きなギャップを指摘した。米国のチャイルドファインド制度のような「ニーズ発見の義務化」が日本には存在しない点も課題として挙げられた。

採択・発行の負担軽減については、資料5に基づき、国は同一内容の教科書を紙・デジタル・ハイブリッドの3形態同時に作ることを求めるものではないこと、二次元コード先のコンテンツも検定対象として精選されるため採択時の調査研究対象は教科書部分に限定されること等が示された。これに対し山口委員(茨城県教育庁)は、県が調査を厚くすることで12採択地区分をカバーする県側の負担(現行5日間・約80名体制)がむしろ増加しかねないと懸念を示し、田邊委員はハイブリッド教科書が紙の全体量を上回らないことの明確化や、デジタルコンテンツを可視化する共通フォーマットの必要性を訴えた。採択時期(8月末)については発行・供給スケジュールとセットであるため、実務状況を踏まえて引き続き検討するとされ、次回会議は9月28日(月)14時からの開催が案内された。

現場視点の一般的な懸念

  • フルデジタル教科書の対象学年について「一定学年以上に限定」という抽象的な論点提示にとどまっており、2030年度導入まで具体的な学年区分が示されないと、小学校高学年・中学校の教員は端末活用やICT研修の準備計画を立てにくい。
  • 文科省の令和4年度調査で読み書きに著しい困難がある児童生徒は通常学級の3.5%(推計約30万6,000人)とされる一方、令和8年度の音声教材需要数調査では小中合計約1万2,000人しか申請ベースで把握されておらず、米国のチャイルドファインドに相当する発見の仕組みが日本にない中で、学校現場が見過ごしている児童生徒への対応が個々の教員の気づきに依存し続ける。
  • 採択の効率化を掲げつつ、山口委員(茨城県教育庁)が指摘したように、都道府県が市町村分の調査研究を肩代わりする形になれば、県側(現行5日間・教員含め約80名体制)の負担がむしろ増大する可能性があり、負担が現場から都道府県へ付け替わるだけになりかねない。
  • ハイブリッド教科書のデジタル部分(旧・二次元コード先コンテンツ)を検定対象として精選する方針は示されたが、田邊委員が求めた「紙の全体量を一律上回らない」という具体的な歯止めはまだ確定しておらず、発行者の設計次第で限られた授業時数への影響度が学校ごとに変わりうる。
  • 田邊委員が指摘した通り、デジタルコンテンツは紙の教科書に比べて採択時に内容を即座に確認・比較する利便性が劣るが、その解決策である一覧化リストや共通フォーマットは「検討」段階にとどまり、8月末という採択スケジュールに間に合うかが不透明である。

現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案

  • 国(文科省)は、フルデジタル教科書の対象学年の目安(例:小学校高学年以上、英語等実技系教科優先等)をできるだけ早期に指針案として明示し、教育委員会・学校が2030年度導入に向けた研修・環境整備の年次計画を立てられるようにする。
  • 国は近藤教授が提案した「診断書・手帳に過度に依存せず学校の把握や申出を判断材料にできる」運用方針を指針に明記し、教育委員会は特別支援教育コーディネーター等を中心に、申請を待たずに読み困難の兆候に気づける校内体制(代読・代筆によるテスト実施等の試行を含む)を整備する。
  • 文科省は都道府県・市町村の役割分担を数値(調査日数・人員規模)を伴って整理し直し、都道府県の調査研究業務が増える場合は人員・予算面での国庫的支援を検討する。教育委員会側は、まず現行の都道府県調査と市町村調査の重複実態を洗い出した上で共同調査研究の範囲拡大を進める。
  • 文科省・検定調査審議会は、ハイブリッド教科書のデジタル部分の分量上限(紙の全体量を超えない等)を検定基準に数値目安として明記し、教科書発行者は採択前にデジタルコンテンツの精選プロセスと分量根拠を公表する。
  • 文科省は令和8年度中にデジタルコンテンツの一覧化リスト・共通フォーマットの試作版を教育委員会・現場教員に提示し、次回会議(9月28日)までに採択実務での試用フィードバックを反映した具体案をまとめる。

※この文章はAIで作成されています。あくまで参考としてお読み取りいただき、事実関係、内容の妥当性の確認はリンク先の原典を当たるなど各自の判断でお願いします。

デジタルな形態を含む教科書の発行・採択等の指針に関する検討会議・第5回議事録
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