【現場視点】中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会(第16回)配付資料

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【co-lect現場視点評価】第16回 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会 配付資料

要約

令和8年8月4日開催の第16回教育課程企画特別部会では、高等学校の卒業単位数を現行74単位から148新単位へと再編し、必履修科目についても外部試験の合格を根拠とした履修免除・振替を認める方向が示された総則・評価特別部会取りまとめ(案)が提示されており、学校現場の視点からは六つの懸念が浮かび上がる。

配付されたのは、資料1-1「総則・評価特別部会取りまとめ(案)」(会議後修正版)、資料1-2「各教科等ワーキンググループ取りまとめ(案)概要」、資料2「審議まとめに向けた検討」に加え、参考資料として国語から特定分野に特異な才能のある児童生徒に係る特別の教育課程まで、各教科等ワーキンググループ等の取りまとめ(案)の一式である。この構成からも明らかなとおり、今回は個別論点の検討というより、これまで各ワーキンググループで並行して進んできた議論を「審議まとめ」に向けて一つの体系へと束ねる段階に入ったことを示す会議であった。

義務教育段階では、調整授業時数制度の具体的な数値が初めて出そろった。標準授業時数を下回ってよい上限は対象教科等の最大15%程度(小学校で最大138コマ、中学校で最大128コマ、週4コマ程度)とされ、そこから生み出した時数を充てる「裁量的な時間」は全体で週2コマ程度(最大70コマ)、うち組織的な研究・研修等に充てる「研究・研修等枠」は週1コマ程度(最大35コマ)を上限とする案が示された。標準授業時数が35コマ以下の教科等は調整対象から除外され、調整後も35コマは確保することとされている。既存教科等への上乗せと新教科の創設については上限を設けず、教育課程特例校制度・授業時数特例校制度は調整授業時数制度に統合される。施行は令和10年度からの先行実施期間を想定し、全面実施は小学校令和12年度、中学校令和13年度とされる。

高等学校では、制度の骨格そのものが組み替えられる。1単位の計算方法を50分×35コマから50分×17コマへと細分化した結果、卒業単位数は74単位から148新単位、必履修単位数は38単位から78新単位となる(必履修科目の総学習時間は1330コマから1326コマへとわずかに減少する)。加えて、必履修科目を含む科目間の内容の移行・統合を「組替え後科目」として認め、その単位数に上限を設けないこと、これまで原則不可としてきた2単位必履修科目の減単を認めること、そしてCEFRのB2レベル相当以上の英語外部試験や数学Ⅰ相当を上回る級の数学外部検定の合格をもって必履修科目の履修を免除し、上位科目等への振替を可能とすることが提案されている。学習評価についても、「学びに向かう力・人間性等」の三要素が思考・判断・表現の過程で継続的に発揮された場合に「◯」を付記し、それを観点別評価を介して評定に一体的に勘案するという新たな運用が具体化された。

資料2はこれらを総括し、「主体的・対話的で深い学びの実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」の三点をそれぞれ excellence・equity・feasibility と対応づけたうえで、「統合的な理解・総合的な発揮」による構造化は評価規準を設定する対象とはしないという整理を示した。もっとも、同時に「統合的な理解・総合的な発揮は学習評価と無関係であるといった誤解が生じないよう、丁寧な説明に努める必要がある」とも述べており、評価対象とするか否かの線引きは、なお解釈の余地を残したまま各学校に届くことになる。制度の意図と学校現場での受け止め方との間にどのような距離が生じうるのか、以下六点にわたって検討する。

現場視点の一般的な懸念

懸念1:高等学校単位制柔軟化の検討視点に、労働市場の需給予測が明示的に組み込まれていること

資料1-1は、高等学校単位制の柔軟化を検討する三つの視点として、多様性・共通性の双方を重視しつつ特色化・魅力化を推進する視点、多様な生徒一人一人に応じる視点と並べて、「学校教育を通じて社会変化をけん引する人材育成を進める視点」を挙げている。三つ目の視点の根拠としては、生成AIによるデジタル化や生産年齢人口の減少が同時進行する中で、地域のエッセンシャルワーカーやイノベーションをけん引する専門的技術者が不足し、定型的な業務を担う事務職は余剰となるという大規模な「労働力需給ギャップ」の予測が明示され、各高等学校及び設置者に対し、近未来の労働市場を見据えて教育課程を大胆に改革することが求められている。

高等学校教育が社会や職業との接続を意識すべきこと自体は当然であり、これを否定する必要はない。問題は、労働市場対応と市民性・教養の保障を「両方できる」かどうかではなく、資料に示された制度設計が実際に両者を対応した形で扱っているかどうかにある。

労働市場対応の側は、具体的な拡充という形をとっている。数学Ⅰへの「社会を読み解く数学」「数学ガイダンス」の新設と、それに伴う数学Ⅰの単位数増加(最大8新単位)は、AI・データサイエンス人材育成という要請を、新設科目・単位増という目に見える形で教育課程に反映したものである。

これに対し、市民性・教養の保障の側に用意されているのは、各必履修「教科」に係る科目の履修単位数の合計が3新単位以下となる減単は不可という、最低限の下限規定にとどまる。これは教科としての存続は保障するが、労働市場対応の側のような拡充を伴うものではない。

この非対称性に対しては、「市民性の涵養は総合的な探究の時間や特別活動(学級活動・ホームルーム活動)で担えばよい」という反論が想定される。しかし資料を確認すると、この反論はいずれも額面どおりには成立しにくい。

総合的な探究の時間は、現行の必履修3~6単位(減単1単位まで可)から、改訂後案では6~12新単位(減単2新単位まで可)へと再編される。単位数の絶対値は増えるが、減単できる幅も広がっており、義務教育段階で調整授業時数制度が総合的な学習の時間を新たに削減対象に含めた(従来の授業時数特例校制度では対象外だった)のと同じ方向性で、高校の探究の時間も減単に対して従来以上に開かれた位置に置かれている。市民性の受け皿として名指しされうる時間そのものが、他の科目と同様に目減りしうる立場にあるということである。

特別活動(学級活動・ホームルーム活動)については事情が異なる。学級活動は標準授業時数の内数として時間が確保されており、その標準時数はおおむね35コマ程度で、資料が定める「35コマ以下の教科等は調整(削減)対象外」という基準に該当するため、時間そのものが削られる可能性は低いと考えられる。しかし、特別活動WGの取りまとめは、特別活動に「確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤」という、対話と合意、社会参画、当事者意識の形成を含む相当に重い役割を新たに課している。これは、従来と変わらない年間35コマ程度の枠の中に、学級経営やいじめ防止といった従来の内容に加えて担わせるものであり、時間は増えないまま期待される役割だけが拡張される構図になっている。加えて資料自身、裁量的な時間の学習枠と特別活動の役割分担がなお整理途上であることを認め、「本来学校行事として設定すべき時間数を裁量的な時間で代替するような『不適切な運用』が生じないよう、慎重な検討が必要」と注記している。

つまり、労働市場対応の側は具体的な時間・内容の拡充を伴って進むのに対し、市民性・教養の側の主要な受け皿として想定されうる二つの時間——総合的な探究の時間と特別活動——は、それぞれ「時間ごと目減りしうる」「時間は変わらないまま役割だけ重くなる」という異なる形で、拡充とは逆方向の圧力にさらされている。

懸念2:必履修科目の履修免除を外部試験に接続することが、学校類型間の教育格差を制度内に持ち込みうること

外部試験の合格をもって必履修科目の履修を免除し、上位科目等への振替を可能とする仕組みは、既に高い水準に達している生徒に対してより発展的な学習機会を開くという点で、生徒個人の視点からは合理性がある。資料も、免除科目の資質・能力を十分に上回る水準で身に付けている場合に他の選択肢を提供することが有意義であるためだと説明し、単に相当する力があれば自動的に免除するものではないと注意を促している。

問題は、その水準への到達経路である。資料が主に想定しているのは「入学前に既に免除科目が目指す資質・能力を大きく上回る水準で身に付けている生徒」であり、CEFR B2相当以上の英語力や数学Ⅰを超える級の取得が、入学時点で完了していることが前提となる。この水準に高校入学前に到達する経路としては、学習塾や英語教室、家庭での学習支援といった個人単位の学校外資源がまず思い浮かぶが、実際に制度の主たる受益者となりやすいのは、むしろ中高一貫校(中等教育学校・併設型高等学校)の生徒集団であると考えられる。中高一貫校の多くは、中学段階から英語・数学を先取りして指導する教育課程を組んでおり、CEFR B2相当や数学Ⅰを超える級への到達は、家庭による追加的な投資というよりも、学校のカリキュラム設計そのものによって生徒集団単位でもたらされる。本資料はこの点に触れていないが、必履修科目の履修免除・振替という高等学校教育の共通性の中核に関わる仕組みが実際にどの学校類型で活用されるかは、個人の家庭資源の差という軸だけでなく、中学受験を経て中高一貫校に進学できたかどうかという、より早い段階での学校選択の差として現れる可能性がある。資料は制度の悪用・濫用を防ぐ観点から当面は実績のある外部試験に限って開始するとしているが、これは試験の信頼性に関する歯止めであって、こうした学校類型間の活用格差に対する歯止めではない。

この学校類型間の格差は、さらに地理的な偏在という、家庭の努力や意欲では埋めがたい軸を伴う。私立の中高一貫校は東京・大阪・名古屋をはじめとする三大都市圏に集中して立地しており、地方には公立の中高一貫校が県内に数校あるかないか、あるいは通学可能な範囲に一校も存在しない地域も少なくない。都市部の家庭であれば、中学受験を通じて先取り教育を行う学校への進学という選択肢を検討できるが、地方の家庭にとっては、同等の教育投資の意欲や資源があったとしても、そもそも通える範囲にその選択肢自体が存在しない場合がある。学校類型間の格差が家庭の判断や投資によって多少なりとも動かしうる差であるのに対し、この地理的な偏在は、居住地という個人の努力の外にある条件によって最初から選択肢の有無が決まるという点で、より是正しにくい構造を持つ。

懸念3:研究・研修等枠が、既存授業時数の再配分に加えて各校の業務改善を前提として設計されていること

「研究・研修等枠」は、児童生徒の学習に充てる時間の一部を教育の質の向上に直結する研究・研修等に充てるという性質のものであり、週1コマ(最大35コマ)程度を上限とする案が示された。教員の研修時間を教育課程上に明示的に位置づけようとする試みは、これまで勤務時間外に押し出されがちだった業務を可視化するという点で意味がある。

しかし、その財源は追加的な人的措置ではなく、各教科等から生み出した調整授業時数である。加えて資料は、各学校においてはまず不断の業務改善や日課の見直し等を通じて勤務時間内に必要な研究・研修等の時間を確保できるよう取組を進めることが前提となる、と述べている。つまり、この制度は「業務改善を済ませた学校が、さらに授業時数を削って研修時間を確保する」という二段構えの設計になっている。研修時間が足りないという構造的な条件は、加配や外部人材といった資源の追加によってではなく、各校の業務改善努力と時数配分の工夫によって解消されるべきものとして枠づけられており、うまくいかない場合の説明責任が学校側に帰属しやすい構造である。週28コマから週27コマ+研究・研修1コマという週時程を一般的なものにしていきたいという方向性は示されているが、その実現可能性を左右する指導体制の条件については踏み込まれていない。

懸念4:学習評価をめぐる二つの新しい仕組みが、いずれも最終判断を個々の教師の見取りに委ねていること

一つは「◯」の付記である。国が各教科等ごとに示す「見取る姿」を手がかりに、評価期間における思考・判断・表現の学習過程全体を通じて、その行動の「継続的な発揮」を見取ることができたときに「◯」を付す。この「◯」は独立した観点としてではなく、思考・判断・表現の観点別評価を介して評定に一体的に勘案される。資料は、「B◯」の場合に評定が5となることも4となることもあり得るとし、観点別評価と「◯」の組み合わせが同じでも評定が一意に定まらないという指摘に対しては、現行の評定決定でも同様の幅が生じており、評定の具体の決定方法は所管の教育委員会の方針及び教師の専門的・総合的判断により定めるべきものだと整理している。

もう一つは「統合的な理解・総合的な発揮」の扱いである。これは方向目標としての性質を持ち、評価規準を設定して達成状況を評価することは求めないとされた。理由として、抽象的な概念の暗記を問う課題による評価が構造化の趣旨と逆行しうること、到達水準を示していないため評価規準の設定が困難であること、二重の評価負担を強いることが挙げられており、いずれも現場の実態を踏まえた妥当な判断である。ただし同時に、各単元の学習の成果の質を評価する際、特に「A:十分満足」と判断する場合には「統合的な理解・総合的な発揮」の記載を踏まえるとされ、これと無関係であるという誤解が生じないよう丁寧な説明に努める必要があるとも述べられている。評価規準は設定しないが、A判定の判断材料としては参照する——この線引きを、日々の評価実務の中で個々の教師が安定して運用できるかどうかは、示される解説や参考資料の具体性に大きく左右される。制度としては負担軽減を意図していても、判断の負荷が形を変えて現場に残る可能性がある。

懸念5:制度の上限設計が、先行的に取り組んでいる限られた学校群の実績に依拠していること

調整授業時数の上限(対象教科等の最大15%程度)は、先行研究開発学校68校において標準を下回って編成されている調整授業時数の総量が、平均で小学校124コマ(14%相当)、中学校126コマ(15%相当)であるという実態を主な根拠としている。裁量的な時間全体を週2コマとする案も、サキドリ研究校において研究・研修等枠と学習枠の双方に取り組む学校が72%を超えるという実績が参照されている。

これらの学校は、国の指定を受けて自ら手を挙げた学校であり、資料自身も、その多くがデジタル学習基盤の活用や授業改善によって特段の問題を生じさせることなく1コマ45分を40分に短縮するなどして調整授業時数を生み出していると記している。すなわち、時数を生み出すための前提条件を既に整えている学校群の実績が、全国の一般校に適用される上限の根拠となっている。デジタル学習基盤の整備状況や、授業改善を支える指導主事の配置、校内研修の蓄積は自治体間で相当の差があり、同じ上限が与えられても、それを活用できる学校とできない学校の間で教育課程の柔軟性そのものに差が生じうる。資料が示す対応は、サキドリ研究校の追加募集による知見の蓄積・共有が中心であり、条件そのものを均す財政的措置には及んでいない。

懸念6:情報活用能力の時数確保が先に確定し、各教科の内容精選が後追いになっていること

小学校総合の「情報の領域(仮称)」と中学校の「情報・技術科(仮称)」の創設に伴い必要となる時数は、各学年最大30〜70コマ程度と見積もられている。標準総授業時数を増加させないという大臣諮問の前提の下、この時数は、標準授業時数が35コマ以下の教科等を除く各教科等から、それぞれの既存授業時数に応じて同一の考え方で一定の割合を減じることで確保される。特定の教科に負担を集中させないという配慮は理解できる。

一方、各教科等の標準授業時数の具体的な実数については、今後さらに各ワーキンググループの取りまとめを踏まえた教育課程全体の議論の進捗を踏まえて精査が必要であり、教育課程企画特別部会で検討して適切なタイミングで示すこととされている。内容の整理・精選についても、文部科学省において引き続き検討し、必要に応じて各教科等ワーキンググループに報告することが求められる、という段階にある。つまり、削減の枠は先に決まり、何をどう削るかは後から決まる。しかも精選の観点として掲げられているのは、時数減への対応、深い学びのための余白の確保、教科書の精選という三点であり、これらは削減量を正当化する枠組みではあっても、削減してはならない内容を守る基準としては働きにくい。現場が教科書と授業時数の双方の縮減を同時に受け取る際、何が削られたのかを教科の論理から説明できる状態になっているかどうかが問われる。

さらに、この「時数先行・内容後追い」の構造は、調整授業時数制度と重なることで、個々の教科において二重の圧迫を生みうる。情報の新教科・領域の創設に伴う時数確保は、標準授業時数そのものを対象教科から一律の割合で減じる方式であり、学校の選択の余地がない。一方、調整授業時数制度の上限(対象教科等の最大15%程度)は、この情報分の削減が反映された後の標準授業時数を母数として計算されると考えられる。つまり、ある教科が情報分の削減で既に標準授業時数を下げられたうえで、同じ教科が調整授業時数制度によってさらに標準を下回る運用をしようとした場合、35コマという共通の下限に向けて二段階の削減が積み重なることになる。教える内容の精選が時数の削減に追いついていない段階でこの二重の削減が重なれば、指導すべき内容の分量は実質的に変わらないまま、指導に充てられる時間だけが先に縮小するという事態が生じかねない。この重なりの実際の影響がどの程度になるかは、各教科の標準授業時数の実数と内容精選の具体が示されなければ検証できないが、削減の順序と根拠が示されている段階では、この点への目配りが必要である。

現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案

改善提案1(懸念1に対応)

高等学校の必履修教科・科目の在り方を検討するに当たっては、労働市場の需給予測に基づく人材育成の視点と並置する形で、市民形成・教養形成の観点から各必履修教科が担う役割を明文化し、減単や科目の組み替えの可否を判断する際の基準として位置づけることが求められる。具体的には、各必履修「教科」に係る合計単位数の下限のみでなく、教育課程全体としての教科間バランスを設置者が確認する仕組み——例えばカリキュラム・ポリシーの公表事項に、必履修教科ごとの単位配分とその教育的理由を含めること——を要件化することが考えられる。あわせて、総合的な探究の時間と特別活動については、市民性・教養の涵養という重い役割を担わせる以上、それぞれが直面する固有の制約——探究の時間は減単幅の拡大により時間そのものが目減りしうること、特別活動は時間を増やさないまま役割のみが拡張されていること——を踏まえ、裁量的な時間や各教科等の学習枠との役割分担を、学習指導要領の告示に先立って具体的に整理し、いずれかの時間に暗黙のうちに負担を転嫁する運用とならないようにすることが必要である。

改善提案2(懸念2に対応)

外部試験を活用した履修免除・振替の制度化に当たっては、受検機会の格差が制度の入口で作用しないよう、公費による受検料補助や学校単位での受検機会の提供を制度設計と一体で講じることが必要である。あわせて、資料自身が言及している「入学後に事情により単位を取得できなかった生徒」の救済としての活用——不登校や病気等で必履修科目の単位取得が困難となった生徒への適用——を制度の主たる目的の一つとして明確に位置づけ、入学前の到達度に基づく免除に偏った運用とならないよう、解説等で運用像を具体的に示すことが望ましい。さらに、制度の先行実施後は、免除・振替の活用状況を学校類型別(中高一貫校とそれ以外)及び地域別(三大都市圏とそれ以外)に集計・公表し、特定の学校類型や地域に活用が偏っていないかを検証する仕組みを組み込むことが必要である。仮に活用が都市部の中高一貫校に集中する結果となった場合には、それが制度の意図した「発展的な学習機会の提供」の範囲にとどまっているか、高等学校教育の共通性を損なう形での学校間・地域間格差の拡大につながっていないかを、教育課程企画特別部会において改めて検証すべきである。ただし、こうした事後的な検証・監視は、あくまで高校段階での制度の運用を捕捉するものであり、私立中高一貫校の立地が都市部に集中しているという、より上流にある構造的な条件そのものを是正するものではない点には留意が必要である。

改善提案3(懸念3に対応)

研究・研修等枠を実効あるものとするため、時数の枠を設けることに加えて、その時間に教員が確実に研究・研修に従事できる指導体制上の条件——具体的には、当該時間帯の児童生徒の指導を担う人員の確保方策——を国として明示し、それに対応する財政措置を制度の先行実施と同時期に講じることが求められる。また、「まず業務改善を通じて勤務時間内に確保することが前提」という位置づけについては、業務改善によって解消しうる範囲と、構造的に人員配置を要する範囲とを国として切り分けて示し、学校の努力不足に帰責される構図を避けることが必要である。

改善提案4(懸念4に対応)

「見取る姿」については、学習指導要領の告示と同時期に、教科ごとの具体例に加えて「継続的な発揮」と判断できる場合とできない場合の境界事例を示した参考資料を整備し、経験の浅い教員も含めて判断の水準を揃えられるようにすることが必要である。「統合的な理解・総合的な発揮」についても、評価規準は設定しないという原則と、A判定に際して参照するという運用との関係を、単元の評価計画の具体例に即して示すことが望ましい。いずれも、原則の説明にとどまらず、実際の評価場面で参照できる形で提示されることが、二重の評価負担を回避する上で不可欠である。

改善提案5(懸念5に対応)

調整授業時数制度の全面実施に先立ち、上限の根拠となった先行研究開発学校・サキドリ研究校の実績について、時数を生み出すことを可能にした前提条件——デジタル学習基盤の整備状況、単位授業時間の短縮の可否、指導体制、校内研修の蓄積——を分析して公表し、一般校がどの条件を満たせば同水準の運用が可能となるのかを明らかにすることが求められる。そのうえで、条件が整っていない自治体・学校に対しては、知見の共有にとどまらず、環境整備に必要な財政支援を伴う段階的な支援計画を、施行スケジュールと対応づけて示すことが必要である。

改善提案6(懸念6に対応)

各教科等の標準授業時数の実数を確定させる前に、内容の整理・精選の判断基準——とりわけ、削減の対象としてはならない内容をどのような観点から特定するのか——を教科横断の共通基準として提示し、各教科等ワーキンググループの検討結果と併せて公表することが望ましい。また、精選の結果については、削減された内容とその理由を教科ごとに整理した資料を告示に併せて示し、教科書の精選と授業時数の縮減が同時に進む中でも、現場が「何がなぜ削られたのか」を教科の論理から生徒・保護者に説明できる状態を確保することが求められる。さらに、情報の新教科・領域創設に伴う標準授業時数の削減と、調整授業時数制度による各校の追加的な調整とが同一教科に重ねて作用する場合の実質的な指導時間への影響について、教育課程企画特別部会において試算を示し、二重の削減によって指導内容に対して時間が不足する教科が生じないかを、標準授業時数の実数確定に先立って検証することが必要である。

教育課程部会 教育課程企画特別部会(第16回) 配付資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/101/siryo/mext_00055.html

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