
要約
本資料は、次期学習指導要領改訂に向けた社会・地理歴史・公民系教科の審議資料であり、主に以下の2議題を扱っている。
議題1:社会参画意識の育成
日本の18歳の社会参画意識・投票率は上昇傾向にあるものの、諸外国と比較して依然低水準にある。この現状を踏まえ、主権者教育を「形式的な活動」から脱却させ、模擬投票・模擬請願・模擬議会といった実践的活動を通じて、子供が「自分ごと」として社会に関わる学習に転換することが方向性として示された。外部機関(選挙管理委員会・議会事務局・NPO等)との連携強化、特別活動・総合的な学習との教科横断的な連携も重要課題とされている。桑原委員(岡山大学)の発表では、主権者教育の課題として「選挙のための特別な教育」という誤解を指摘し、学校の全教育活動を「主権者を育てる」視点で再構成することが提言された。
議題2:評価の在り方
現行の「主体的に学習に取り組む態度(主態)」評価が形式的な勤勉さの評価に偏っているという課題を受け、「学びに向かう力・人間性等」を教育課程全体を通じた個人内評価へと転換する方向性が示された。具体的には、「初発の思考・好奇心」「学びの主体的な調整」「他者との対話・協働」の3要素が「思考・判断・表現」の過程で継続的に発揮されている場合に「◯」を付記する新たな評価方式が提案された。また、学年末のみの評定総括を可能とし、学期中は「学習改善に生かす評価」を充実させることも方向性として示された。
現場視点の一般的な懸念
主権者教育について
- 実践的活動(模擬投票・模擬請願等)を充実させるには外部機関との連携調整・事前準備が必要であり、教員の準備負担は相当大きい。特に選挙管理委員会等との連携が学年の40〜60%以上で未実施である現状を踏まえると、全国一律の実施は現実的ではない学校も多い。
- 「政治的中立性への留意」という縛りがある中で、現実の政治的事象を扱う授業は教員にとって心理的・実務的なリスクを伴う。
- 特別活動・総合・社会科の横断的連携は、時間割・評価・担当教員の調整が複雑であり、特に教員異動後の継続性が課題となる。
評価改革について
- 「◯の付記」は「長い評価期間を通じた継続的な発揮」を見取るとされているが、その判断が教師の主観に委ねられる部分が大きく、評価の公平性・説明責任の観点から保護者・管理職への説明が難しい。
- 「◯」が評定に影響するとされながら「自動的に一段階上げるものではない」という曖昧な設計は、実運用時に混乱を招く恐れがある。
- 「学年末のみの評定総括」が許容されるとしても、進学・高校入試との兼ね合い(特に中3の2学期評定需要)で多くの学校が実質的に変更できない可能性が高い。
- 「見取る姿(仮称)」は学習指導要領改訂後に示すとされており、改訂施行に向けた教員研修・実施準備の時間的余裕が乏しい点が懸念される。
教育課程部会 社会・地理歴史・公民ワーキング(第7回) 配付資料:文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/109/siryo/mext_00007.html

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