公立小中学校の適正規模・適正配置の在り方 ― 「令和の日本型学校教育」を推進する調査研究協力者会議 議論のまとめ(令和8年3月26日)および関連パンフレット(令和7年3月)

要約

本資料は、文部科学省が令和8年3月に取りまとめた政策文書と、令和7年3月発行の自治体向けパンフレットで構成されています。

少子化の急速な進行など社会が大きく変化している中、公立学校を取り巻く状況の変化とあいまって、公立学校の統廃合に関する検討が求められている自治体が多くなっています。

背景として、文部科学省は平成27年に「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引」を策定・公表しましたが、その後10年が経過し状況が大きく変化したため、改訂に向けた議論が行われました。

公立小学校・中学校に通う児童生徒数は平成27年の961万6553人から令和6年の876万8484人となり、約10年で約85万人減少しています。また、公立小学校のうちその学級数が標準規模(12から18学級)に満たない学校は平成27年には全体の45.1%であった状況から、令和6年には全体の41.6%となり改善しているものの、1小学校1中学校の町村等の割合は平成27年の15.5%から令和6年の16.1%に増加しており、域内でのさらなる統廃合が困難な自治体が増えています。

こうした状況を踏まえ、今回の議論のまとめでは、平成27年手引きの基本的考え方(①児童生徒の教育条件改善を中心に置く、②地方公共団体が主体的に判断する、③統合・小規模存続のいずれの場合も利点を活かし課題を最小化する)を維持しつつ、以下の3つの観点から改訂の方向性を示しています。

「広域化」(域内だけでなく周辺市町村を巻き込んだ圏域で検討する観点)、「総合化」(教育委員会だけでなく首長部局も含めた市町村全体で地域の未来を考える観点)、「現代化」(学習指導要領の改訂やGIGAスクール構想など学校教育の変化に対応した観点)の3つが柱であり、これらの土台として計画の策定や検討の加速等市町村が留意すべき観点の追記が必要とされています。

現場視点の一般的な懸念

1. 通学負担の増大

学校が統合されることにより通学距離が長くなり、徒歩通学が困難となるケースが増加することが想定されます。スクールバスを導入する場合も、導入やその運行・維持に係る費用負担に加え、近年はその担い手(運転手等)不足が大きな課題となっており、地域公共交通全体に深刻な影響を与えています。

2. 児童生徒の環境変化への対応

学校統合の前後において、児童生徒への対応や教職員の対応等について配慮や工夫について多くの記載があるとおり、生徒指導上の課題(環境の変化による戸惑い)を深刻化させないための配慮が重要です。

3. 地域コミュニティの喪失

学校は地域のコミュニティの核として、防災・保育・地域の交流の場等の機能を併せ持ちます。地域の実情により、学校統廃合が困難な場合や小規模校として存続させることが必要な場合もあり、こうした判断も尊重される必要があります。統合後にこれらの役割をどう継承するかは現場にとって重大な問題です。

4. 合意形成プロセスの長期化・複雑化

学校の適正規模・適正配置の検討は、丁寧にプロセスを追えば非常に長期の期間を要します。検討の開始に当たって様子見をすることなく、選ぶことのできる選択肢があるうちに先行して検討を開始し、納得解が得られるような合意形成を図ることが極めて重要です。一方で、保護者や住民の反対が起きることも多く、新潟県新発田市の事例のように統合目標時期を延期せざるを得ないケースも現実に存在します。

5. 教職員の負担増

小規模校では配置されている教職員が少ないことから、多様な同僚と交流する機会が限られるだけでなく、組織がいわゆる鍋蓋型になりやすく、ミドルリーダーとしての役割を果たすはずの教職員がその役割を果たす機会や経験を得づらいとの課題があります。統廃合に伴う諸事務(校名・校章・校歌・制服の決定、行事調整など)の増加も現場負担として無視できません。

6. 小規模校における教育の質の維持

学校では、児童生徒が集団の中で、多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて思考力や表現力、判断力、問題解決能力などを育み、社会性や規範意識を身に付けさせることが重要であることから、学校は一定の規模を確保することが重要です。統廃合が進まない地域では、この点をどう補完するかが継続的な課題となっています。

公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等:文部科学省 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tekisei/index.htm

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