
要約
本通知は、令和8年(2026年)4月1日から施行される「高等学校等就学支援金制度」の改正内容を、各都道府県・学校設置者等に周知するものです。
今回の改正の主な柱は以下の3点です。
① 所得制限の完全撤廃 保護者の年収にかかわらず就学支援金を受給できるようになりました。私立高校全日制の支給上限額は年額39万6,000円から45万7,200円へ引き上げられます。
② 支給対象者の国籍・在留資格による限定 日本国籍者・特別永住者・永住者を基本とし、一定の要件を満たす者(後述)も対象となる一方、「留学」等の一時的な在留資格者や外国人学校(各種学校のうち外国人専用のもの)は新制度の対象外となりました。
③ 費用負担割合の変更 都道府県が行う就学支援金の費用負担が、これまでの国全額(10/10)から国3/4・都道府県1/4に変更されました。
また、新制度対象外となる外国籍生徒・外国人学校在籍生徒への経過措置と別途補助事業の創設、高校生等奨学給付金の中所得世帯への拡充、専攻科・学び直し・在外日本人高校生支援の拡充なども合わせて措置されています。
現場視点の一般的な懸念
1. 国籍・在留資格確認という新たな事務負担
所得確認が不要になった一方で、国籍・在留資格の確認という新たな審査業務が生じました。受給希望者は個人番号カードの写し等を添付して申請する必要があり、学校側はこれを受理・管理したうえで支給権者に取り次ぐ役割を担います。加えて在留資格の変更・更新・国籍変更があった際には速やかに届出を受け付ける体制も必要となり、事務の複雑さは増しています。
2. 在留資格変更の把握・追跡の難しさ
在留資格が変わった場合、生徒または保護者が学校を通じて届け出る義務がありますが、変更を本人が認識していなかったり、届出を失念したりするリスクがあります。学校が確実に把握・対応するための体制整備が課題となります。
3. 「一定の要件」の判断が難しいケース
新制度で対象に加わった在留資格者には、以下のような要件が課されています。
家族滞在ビザの場合(要件が最も厳しい) 日本の小学校・中学校を卒業または修了していること、かつ高校等卒業後に日本で就労して定着する意思があると認められること、の両方を満たす必要があります。「日本で育ち、卒業後も日本に残る意思がある」人に限定されています。
日本人の配偶者等・永住者の配偶者等 その在留資格を持っていれば追加条件なしで対象となります。
定住者ビザの場合 永住する意思があると認められることが必要で、単に定住者であるだけでは足りません。
「永住の意思」や「就労して定着する意思」の認定をどの機関がどのような基準でおこなうのか、現場では判断しにくいケースも生じうると考えられます。
4. 外国籍生徒・外国人学校への説明対応
新制度の対象外となる生徒への対応は、以下の3区分に分かれており複雑です。
令和8年度在校生(経過措置) 令和8年3月末時点ですでに在籍している生徒(留学生含む)は、在学関係が続く限り旧制度がそのまま適用され、卒業まで現行通りの支援を受け続けられます。ただし年収910万円以上の世帯は旧制度でも上限11万8,800円/年にとどまります。
令和8年度新入生(新規補助事業) 新制度対象外の外国籍・外国人学校の生徒(留学生を除く)のうち年収910万円未満の世帯を対象に、都道府県が授業料支援を行う場合に国が費用の3/4を補助します。支給上限は旧制度と同等水準(私立高校等で年額最大39万6,000円)です。
外国人学校の告示制度廃止 従来あった外国人学校の指定告示は令和8年3月31日をもって廃止されましたが、経過措置・補助事業の対象には廃止前の指定校も含まれます。
これら制度が複数に分かれているため、外国籍の保護者・生徒に対して自分がどの制度の対象なのかを正確に説明するための、多言語対応を含む案内体制の整備が求められます。
5. 都道府県の財政負担増加と私立学校への間接的影響
国が全額負担していた費用が国3/4・都道府県1/4に変わり、都道府県は新たに費用の25%を自前で用意しなければなりません。私立高校全日制の支給上限額は年額45万7,200円と公立(11万8,800円)の約4倍であるため、生徒数が多い都道府県や私立学校比率が高い都市部では都道府県の負担総額が特に大きくなります。都道府県の財政が逼迫した場合、間接的に私立学校への補助金・助成制度の見直しや、授業料上限に関する都道府県との協議に影響が出る可能性があります。また都道府県間の財政力の差により、支援水準に地域格差が生じるリスクもあります。
6. 施行タイミングと準備期間の短さ
法令公布が令和8年3月31日、施行が翌4月1日という非常にタイトなスケジュールです。入学手続きや就学支援金の申請受付が始まる時期と完全に重なるため、新制度への対応が現場に十分浸透しないまま初年度を迎えることへの懸念があります。

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