
要約
今回の資料で最も現場への影響が大きいと編集部が判断するのは、「第4次学校安全の推進に関する計画」策定に向けた論点整理と、令和8年に相次いだ重大事故(3月16日京都府立高校の校外活動死傷事故、5月6日新潟県北越高校のマイクロバス事故、6月19日東京都北区小学校の火災)を受けて矢継ぎ早に発出された安全管理強化の通知群が、ほぼ同時並行で学校現場に降りてくる点である。移動時の安全確保では「安全管理チェックシート」の活用、貸切バス・レンタカー契約の書面化、運転者の資格確認などが管理職の必須業務として明記され、防火点検では消防法に基づく法定点検(6か月ごとの機器点検・年1回の総合点検)の遺漏なき実施が求められている。これらは児童生徒の命に直結する当然の要請である一方、学校安全の中核を担う教職員を「安全主任・主事」として明確に位置付けている学校は令和5年度実績でなお58.2%にとどまり、体制整備が追いつかないまま新たな実務が積み上がる構図が透けて見える。
第4次計画の諮問(令和8年8月21日付、文部科学大臣松本洋平)は、令和4年度から令和8年度までの第3次計画の検証を踏まえ、大規模災害への対応、猛暑・熱中症対策、クマ等の鳥獣被害、SNSに起因する犯罪被害、弾道ミサイル発射等の国民保護事案、サイバーセキュリティなど現代的課題への対応を軸に据えている。学校安全部会は令和8年9月9日の第1回から令和9年1月28日の第6回まで日程が示されており、令和9年3月までにパブリックコメントを経て閣議決定に至る短期決戦のスケジュールとなっている。
第3次計画のフォローアップ(資料5-2、5-3)からは、進捗のばらつきが数字で浮かび上がる。学校安全計画の策定状況は98.8%とほぼ全校で形式的には整っているが、危機管理マニュアルの見直しにおける外部有識者の関与は22.1%にとどまり、地域住民が安全点検に参画している割合はわずか2.0%(保護者2.8%)、児童生徒自身が安全点検に参加している学校はわずか5.3%である。教職課程を有する大学でのAEDを用いた一次救命処置(BLS)実習の実施状況も6.9%という低水準の参考値が示されており、「教職課程で学校安全を必ず修得する」という令和元年度からの制度と実態の乖離が指摘されている。
組織体制面では、市町村教育委員会の現状として、指導主事が1〜2名で学校教育全般を担当し、学校安全専属の課や担当指導主事の配置はごくわずか(大阪府高槻市など例外的事例のみ言及)という高知県土佐市教育委員会・𠮷門委員の発表資料(資料7)が生々しい実態を伝えている。首藤委員の発表資料(資料6)では、ヒューマンファクターズの観点から「人は誰でも間違える」「人は無理ができない」という前提に立ち、危機管理マニュアルの見直しを一部ずつ分担・相互参照する仕組みや、事故調査体制・マニュアルの整備、学校安全の中核教員への体系的な研修とポイント制のような継続的な力量形成の仕組みが提案されている。
施設面では、体育館の床板剥離事故や外壁落下事故を受けた手引きが令和7年5月・令和8年3月に相次いで公表され、避難所指定校の体育館等における空調(冷房)設備設置率は令和8年5月1日時点で33.1%にとどまる。学校施設バリアフリー化も令和12年度末までの整備目標に対し、バリアフリートイレ47.9%、エレベーター72.1%などまだ道半ばで、地方公共団体の約6割が「大規模改修に合わせて実施」という計画上の制約を課題に挙げている。第5期教育振興基本計画(令和10〜14年度)の諮問概要やウェルビーイングの議論も同時に示され、学校安全は「安全・安心な環境」としてウェルビーイングの基盤の一つに位置付けられている。
現場視点の一般的な懸念
- 学校安全の中核を担う教職員を「安全主任・主事」として校務分掌に明確に位置付けている学校は令和5年度実績で58.2%にとどまる一方、京都・新潟・東京での重大事故を受けてバス契約の書面化や安全管理チェックシートの運用など管理職の実務負担が新たに積み増されており、体制未整備のまま業務量だけが増える恐れがある
- 教職課程を有する大学におけるAEDを用いた一次救命処置(BLS)の実施状況が参考値で6.9%にとどまるとされ、令和元年度から教職課程で学校安全の修得が必修化されているにもかかわらず、実習環境整備が地方私大等で追いついていない可能性がある
- 市町村教育委員会事務局では指導主事が1〜2名で学校教育全般を兼務し、学校安全専属の課や担当指導主事の配置がごくわずか(大阪府高槻市など一部のみ)という実態が𠮷門委員資料で示されており、第4次計画で求められる「組織体制の整備」が小規模自治体では実行不可能になりかねない
- 児童生徒が安全点検に参加している学校はわずか5.3%、安全点検への保護者参画2.8%・地域住民参画2.0%と極めて低い水準にとどまっており、「子供の視点を加えた安全点検」という方針が現場に浸透する具体策が乏しい
- 避難所指定校の体育館等における空調(冷房)設備設置率は令和8年5月1日時点で33.1%にとどまり、近年の猛暑や大規模災害時の避難所機能強化が求められる中で、財政措置を伴わない「推進」の呼びかけだけでは整備が進まない懸念がある
現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案
- 国(文部科学省)は「学校安全の中核を担う教職員」を審議のまとめが示す「新たな職」として制度化し、処遇改善と配置基準の明確化をセットで第4次計画に盛り込むべきである
- 国及び大学は教職課程におけるBLS実習の最低実施時間・実施環境の基準を明示し、AED等の実習設備整備に対する補助を地方私立大学にも行き渡らせるべきである
- 教育委員会(都道府県)は市町村教育委員会に対し、学校安全専任の指導主事配置や広域連携による支援体制(都道府県単位でのマニュアル見直し支援チーム等)を財政措置とあわせて構築すべきである
- 学校及び教育委員会は、高知県土佐市の実践事例(教科等横断的カリキュラム・マネジメントによる安全教育の日常化)を参考に、児童生徒が安全点検や避難訓練の企画に参加する取組を学校評価の指標に組み込み、横展開を図るべきである
- 国は避難所指定校の体育館等空調整備について、国庫補助率の引き上げや優先配分など、防災機能強化に直結する財政支援を第4次計画の具体施策として明記すべきである
※この文章はAIで作成されています。あくまで参考としてお読み取りいただき、事実関係、内容の妥当性の確認はリンク先の原典を当たるなど各自の判断でお願いします。
中央教育審議会初等中等教育分科会学校安全部会(第1回)配布資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/128/siryo/1412213_00018.htm


