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【要約】
本配布資料は、次期学習指導要領改訂に向けた総則・評価特別部会第9回(令和8年6月1日開催)の配付資料一式であり、以下の4つの柱から構成される。
資料1-1〜1-4:各教科等WGにおける資質・能力の構造化の検討状況
各教科等WGが進めてきた「高次の資質・能力」(「統合的な理解」と「総合的な発揮」)の整理状況を一覧化・点検したもの。企画特別部会として示してきた構造化の趣旨(「深い学び」が実現したときの児童生徒の姿をイメージできること、分かりやすさ・シンプルさを備えること、多様なアプローチを許容する抽象度であること)に沿った対応となっているかを審議。資料1-2は国語・外国語・社会・算数数学・理科・体育保健・芸術・家庭・生活・総合・特活・道徳・産業教育・情報など全教科の「高次の資質・能力」素案と授業改善のねらいを掲載。資料1-3・1-4は「統合的な理解」「総合的な発揮」を単元構想に活かすプロセスの参考イメージ(算数・理科・体育等の具体例)。
資料2:情報・技術WGによる情報領域の体系整理
小学校「総合的な学習の時間(情報の領域(仮称))」、中学校「情報・技術科(仮称)」、高等学校「情報科」の縦断的体系整理。情報活用能力を①情報技術の活用②適切な取扱い③特性の理解の3視点で小〜高を通じて系統的に示す方向。
資料3:関係WG等の議論を踏まえた総則の在り方(2)
道徳WG・産業教育WG・特活WGの議論を踏まえた総則改訂の方向性を検討。主な論点は以下:
- 道徳教育:高校の「人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面」として、従来の特別活動・公民科(公共・倫理)に加え「総合的な探究の時間」を新たに位置付けること。高校の道徳教育全体計画にも「重点目標」を記載し小中高の連続性を持たせること。
- 産業教育:情報Ⅰの代替規定の見直し(安易な代替を防ぐ配慮事項の明示)、ホームプロジェクトの授業時数算入規定の削除。
- 高等学校の柔軟な教育課程:必履修を含む科目の統合・組み替え(特例校制度の一般化)、単位細分化(74単位→148単位)による増減単の柔軟化、週当たり授業時数の標準(30コマ)の見直し、一定条件下での科目履修免除など。
- 特別支援・多様性対応:通級による指導の見直し(障害の状態等により各教科の目標・内容の一部変更を可能とするイメージ)、外国人児童生徒等への「日本語指導」の再定義(資質・能力3本柱による一体的育成の明確化)。
資料4:カリキュラム・マネジメントの在り方
各学校が教育課程を主体的に編成・実施・評価するカリキュラム・マネジメントの充実方策。「高次の資質・能力」による学習指導要領の構造化・表形式化・デジタル化・調整授業時数制度・個に応じた学習過程の相互連関を可視化することが主要議題。
【現場視点の一般的な懸念】
1. 「高次の資質・能力」の参考イメージが「形式的義務」に転化するリスク 「教師に常に作成を求めるものではない」と明記されているにもかかわらず、単元計画のプロセス可視化資料が精緻化・充実されるほど、学校現場では「この様式に沿った書類作成が実質的に求められる」と受け取られやすい。研修・指導主事指導・校内研究を通じて、「参考」が「規範」になる過程は過去の改訂でも繰り返されており、教師の書類作業が一層増大する恐れがある。
2. 各教科の「高次の資質・能力」の抽象度調整が教科によって著しく不均一 国語・芸術・生活・特別活動・道徳については「資質・能力の3柱に分けない」「高次の資質・能力を定めない」など独自の整理を認めつつ、他教科は並列・並行の表形式化を求めている。小学校では多教科を担任する1人の教師がこれらを一体的に理解し授業設計に活かすことを求められるが、教科間の記載形式のばらつきは却って混乱を招く可能性がある。
3. 高校の教育課程柔軟化が生み出す「学校間格差」と「受験対応への傾斜」 単位細分化・科目統合・必履修免除などの制度拡充は、高い裁量を持つ一部の学校・地域に恩恵が集中し、運営体制が脆弱な学校では対応できないまま現状維持となる可能性が高い。また「大学入試対策に過度に傾倒した運用を防ぐ」と資料に記されながら、具体的な歯止め措置が「都道府県教育委員会の指導助言」という非強制的な手段に留まっており、実効性に疑問が残る。
4. 外国人児童生徒への日本語指導体制の「理念先行・資源後回し」構造 「日本語指導の再定義」「資質・能力3本柱の一体的育成」という方向性は妥当だが、日本語指導補助者・母語支援員の配置促進は「今後の検討事項」に留まっている。指導内容と体制整備のタイムラグは現場に過重負担をもたらしており、不就学児童約8,600人という深刻な数字が示す通り、制度論より人員確保・財政措置が先決である。
5. 情報教育の「系統化」が実態の前提(端末・教師スキル・インフラ)と乖離するリスク 小学校から高等学校まで情報活用能力を体系的・系統的に育成する構造は論理的だが、GIGAスクール第2期以降の端末更新・ネットワーク整備状況、情報教育専門免許を持つ教員の不足、特に小学校における担任1人での対応困難という実態との乖離は深刻である。「情報・技術科(仮称)」として独立する中学校教科の教員養成・免許制度の整備も、実施時期との見通しが示されていない。
6. 道徳教育の「実装フェーズ」移行が現場の授業改善と連動しない恐れ 「考え、議論する道徳」の実装を謳い、1教材を複数コマで扱う、チーム道徳授業を可能とするなどの方向性は示された。しかし道徳教育推進教師の機能が依然として十分共有されておらず、高校での総合への位置付け拡大も、各校が総合で何を行っているかの実態を踏まえると「計画への記載が増える」だけに終わる懸念がある。
【現場視点の一般的な懸念を踏まえた改善提案】
1. 「参考資料」の制度的位置付けと使用義務の明文否定 単元計画参考イメージや「高次の資質・能力」の活用様式について、学習指導要領解説または告示附則に「これを用いた書類作成を教師に義務付けるものではない」と明示し、校内研究・指導主事訪問においても様式の使用を強制しない旨を通知する。形式的処理の増加を防ぐ制度的な「免疫機構」を設けることが不可欠である。
2. 小学校担任向けの教科横断的「見取り図」の別途提供 教科ごとの表形式化は教科専門教師には機能するが、小学校担任には複数教科の異なる形式を同時に理解・運用することが求められる。全教科を俯瞰できる「小学校教師版・資質・能力マップ」(1枚)を別途作成し、学習指導要領デジタル版の「系統表」機能と連動させることで、個別資料の積み重ねによる認知負荷を軽減する。
3. 高校教育課程柔軟化の「格差是正」条項の設置 科目統合・単位細分化等の弾力化措置の活用実態を国が毎年公表するとともに、活用困難な学校(小規模・農山漁村・離島・定時制・通信制)への財政支援と専任の教育課程コーディネーター配置を措置として明記する。「指導助言」にとどまらず、受験対策への過度な傾斜を防ぐ第三者評価の仕組みも検討に値する。
4. 外国人児童生徒支援の「体制整備」を指導内容整備と同一答申に盛り込む 日本語指導の再定義・多層型支援システムの検討と並行して、日本語指導補助者・母語支援員の配置に必要な予算措置を答申本文に明記し、「今後の検討」に先送りしない。不就学児童の解消には就学義務の法的位置付け強化を含む総合的施策が必要であり、教育課程改訂だけで対応できる課題ではないことを答申が明確に認識・記述すべきである。
5. 情報教育の人材・インフラ整備の工程表を教育課程改訂に同期させる 「情報・技術科(仮称)」の新設や情報活用能力の体系化は、対応できる免許保有教員の数が教育課程改訂の施行時点で充足していなければ実質的に機能しない。改訂答申と同時に、文部科学省として小中高の情報教育担当教員の養成・免許・配置の工程表を公表し、財政措置の裏付けとともに示すことを強く求める。
6. 道徳・総合・特活の連携の「実態把握」を条件とした告示 高校の「人間としての在り方生き方に関する中核的な指導の場面」への総合追加は、各学校の総合における現状テーマや実施状況の全国調査を先行させた上で行うべきである。実態調査なしに規定だけ追加することは、形骸的な全体計画記載を増やすだけに終わるリスクが高い。道徳教育推進教師の役割についても、国が標準的な職務範囲と担当コマ数の上限の目安を示し、過度な負担集中を防ぐ配慮が必要である。
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会総則・評価特別部会(第7回)の配布資料を掲載しました
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/103/mext_00053.html


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