
要約
議題①:職業に関する各教科における柔軟な教育課程の編成について
背景 2月19日の総則・評価特別部会で示された高等学校教育課程の柔軟化方針(6項目)を受け、専門高校・専門教科の観点からの配慮事項を審議した。
主な論点と方向性
科目の柔軟な組み替え 既存科目同士を組み合わせた「組み替え後科目」の設置を通常校でも可能とする方向。専門高校においては、組み替えが専門教科の学びを充実させる方向でなされることを要件とし、課題研究を含む場合はその趣旨(カリキュラム・マネジメントの中核、自己の在り方・生き方との接続)を十分に踏まえることが確認された。
単位計算方法の見直し 「50分×35コマ=1単位」から「50分×17コマ=1単位(新単位)」への変更方針に対し、介護福祉士・海技士・看護師等の職業資格養成校では指定規則との齟齬が生じうるとの懸念が示された。文科省は関係省庁との調整およびモデルカリキュラムの提示を検討するとした。
その他の論点
- 職業資格の合格者に対する科目免除の可能性(外国語・数学と同様の扱いへの期待)
- 検定試験(特にCBT形式)を授業内の評価ツールとして公式に認めることへの要望
- 組み替え後科目における教員免許の紐づけに関する整理の必要性
議題②:職業に関する各教科における学習評価の在り方について
背景 3月30日の総則・評価特別部会での議論を受け、「学びに向かう力・人間性等」の評価の実質化について専門教科の視点から審議した。
主な方向性
◯付記方式の導入 「主体的に学習に取り組む態度」をA/B/Cの独立観点で評価する現行方式を改め、思考・判断・表現の観点別評価に「◯」を付記する形に変更。長期間にわたる継続的な発揮を見取ることを原則とし、「◯」は思・判・表を介して評定にも影響するが、自動的に一段階引き上げるものではないと整理された。
専門教科固有の評価方法の導入
- 産業界等との連携による評価:外部人材からの評価材料を積極的に加味することを学習指導要領解説等に明示する方向。
- パフォーマンス評価の積極導入:実験・実習が授業時数の50%以上を占める専門高校の特性を踏まえ、参考資料への明示を検討。
見取る姿(仮称)の設定 各教科等の目標から学びに向かう力の3要素を抽出した「見取る姿(仮称)」を示す方向。ただし具体的な内容は学習指導要領改訂後に速やかに検討するとされた。
現場視点の一般的な懸念
1. 単位計算変更と資格取得要件の乖離問題
「50分×17コマ=1単位」への変更は、介護福祉士・看護師・海技士等の養成施設として指定を受けている専門高校に直接的な影響を与える。53単位の介護福祉士課程では53コマ相当の学習時間が失われる計算になり、資格取得に必要な学習量の担保が困難になるおそれがある。文科省と厚労省・国交省等との省庁間調整が完了していない段階で方向性が先行しており、現場では教育課程編成の見通しが立てにくい。
2. 科目組み替えによる教員免許・担当体制の複雑化
複数教科にまたがる組み替え後科目を設置した場合、どの教科免許を持つ教員が担当できるかの判断が各学校に委ねられている。実際には水産×生物、工業×化学といった組み合わせが想定されるが、専科教員の配置が限られる専門高校では対応教員を確保できないリスクがある。解説やガイドライン等での明確化が急務である。
3. 検定・資格指導と教員の働き方改革の矛盾
商業・工業等の専門高校では、放課後・休日を使った検定対策指導が実態として広く行われているが、その多くは無報酬・自発的な対応に依存している。今回の柔軟化により資格取得を教育課程に位置づける余地が生まれた一方、制度的・財政的な裏付けがなければ「制度上は授業内でできる」とされながら実態は従来通りという状況が継続するおそれがある。
4. ◯付記方式における評価の形骸化リスク
「主体的に学習に取り組む態度」をA/B/Cで独立評価する現行方式は、煩雑さの一方で教員が生徒の学習態度を意識的に見取る契機となってきた側面がある。◯付記方式への移行により、実習場面での主体性・協働性の評価が思・判・表に「付随するもの」として埋没し、結果として産業教育の核心的な教育活動(実験・実習における自主的な取り組み)が評価上軽視されるリスクがある。
5. 校務支援システムの大規模改修コスト
現行の観点別評価(知・技/思・判・表/主体的態度)のA/B/C組み合わせによる評定算出は、多くの自治体でシステム化されている。◯付記方式への移行はシステムの大幅な改修を必要とするが、その費用負担や移行スケジュールに関する国の支援策が示されていない。自治体・学校規模の差が対応格差につながるおそれがある。
6. 「見取る姿(仮称)」の後付け設計リスク
見取る姿は「学習指導要領改訂後速やかに」検討するとされており、現場への提示が改訂施行と同時にならない可能性がある。評価の着眼点が明確にならないまま実施が先行すれば、教師間・学校間で評価の妥当性・信頼性に大きな差異が生じ、特に外部機関との連携評価において基準の共有が困難になる。
中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会産業教育ワーキンググループ(第6回)の議事録を掲載しました
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/106/gijiroku/mext_00007.html

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