
要約
文部科学省が令和7年10月1日時点で実施した調査によると、全国45都道府県の公立特別支援学校において合計3,192教室の不足が生じている。前回調査(令和5年)比で167教室減少しており、緩やかな改善傾向は続いているものの、依然として深刻な水準にある。
不足の内訳を見ると、一時的対応として体育館・廊下等の間仕切り(1,353室)、特別教室の転用(2,020室)、管理諸室の転用(440室)、倉庫・準備室等の転用(1,837室)などが広く行われており、本来の用途とは異なる空間で授業が実施されている実態が明らかになっている。
学部別では小学部が最多(1,218室)で、中学部(776室)、高等部(682室)と続く。都道府県別では東京都(458室)、大阪府(358室)、埼玉県(254室)、千葉県(271室)など大都市圏に集中している一方、愛知県(126室)や福岡県(215室)では前回調査から大幅に増加している。
施設面積でも課題があり、設置基準上の必要面積を満たす学校は校舎で68.8%、運動場で57.2%にとどまっている。文科省は各都道府県教育委員会に対して「集中取組計画」に基づく対策の着実な実施を通知し、進捗状況のフォローアップを継続する方針。
現場視点の一般的な懸念
教育環境・指導への影響 倉庫、管理諸室、廊下の間仕切りなど本来教室ではない空間での授業が常態化しており、採光・換気・防音・広さのいずれの面でも特別支援教育に求められる環境基準を満たしていない可能性がある。特に障害特性に応じた個別指導や感覚的配慮(静粛性・空間の広さ等)が困難になりやすく、子どもの学習・生活の質に直接影響する。
特別教室・管理諸室の転用による機能喪失 特別教室(音楽・図工・自立活動室等)や管理諸室(相談室・医務室等)を普通教室に転用した場合、本来提供すべき指導内容の縮小や、保護者面談・医療的ケアのスペース確保が困難になるなど、学校運営全体に波及する。
解消見通しの不透明さ 今回不足が判明した3,192教室のうち令和8年度までに解消が計画されているのはわずか395教室(約12%)にとどまり、残りの大部分は解消時期が明確でない。また集中取組計画の「更新・見直しを今後実施予定(③)」「更新・見直しの予定が立っていない(④)」とする都道府県が多数を占めており、計画の実効性に対する不安がある。
児童生徒数の増加が続く中での構造的矛盾 令和7年度の幼児児童生徒数は155,170人(前年度比3,742人増)と増加が続いており、施設整備が需要増に追いつかない状況が続いている。特に大都市圏では用地確保の困難さも重なり、抜本的解決の見通しが立てにくい。
安全面への懸念 設置基準上の必要面積を下回る学校が校舎で約3割、運動場で約4割に上っており、避難経路の確保や防災対応の面でも懸念が残る。特に医療的ケア児など緊急時に迅速な対応が必要な児童生徒を抱える学校では、スペース不足が安全上のリスクに直結しうる。
公立特別支援学校における教室不足調査の結果について(令和7年10月1日現在):文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01618.html

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