採用難にどう向き合うか―幼稚園教諭確保へ、養成・復職・職場改善を一体で議論

①要約

今回の第2回幼児教育作業部会では、幼稚園教諭等の採用確保が主な議題となりました。前回扱った研修の議論も振り返られ、幼児教育センターを軸に、大学・自治体・園・関係団体が連携して研修や相談支援を進める方向性が示されました。特に、研修だけでなく、園訪問や助言を含めた伴走支援、幼児教育アドバイザー等の育成、オンライン研修の活用、人材バンクや代替人材の仕組みづくりが必要とされました。

採用面では、養成段階から学生の志望意欲を維持することが課題として示されました。調査では、実習や学びの過程で一定数の学生の志望度が下がり、とくに「責任の重さ」や「職員同士の人間関係」への不安が大きいことが共有されました。また、就職活動の段階で、園の雰囲気、若手の仕事の実際、園長や同僚との関係など、知りたい情報が十分に得られていないことも指摘されました。

これに対し、文部科学省からは、大学を拠点に職の魅力を発信する「大キャリ事業」、中高生への出前授業や体験機会の提供、有償ボランティアや長期インターンシップ、地域コンソーシアムの構築などが紹介されました。さらに、ICT導入や勤務体制の見直しによる園務改善、離職者・潜在資格者向けの人材バンク整備、処遇改善の継続なども進めていく考えが示されました。

福井県からは、保育団体・養成校・行政が一体となった「保育連携協議会」の実践報告がありました。県内では養成校入学者や就職者の減少、現場の人手不足が深刻化しており、それに対応するため、養成校支援、中高生向け保育体験、魅力発信ポータルサイト、保育人材センターによる復職支援や就職後フォロー、ICT運営費支援など、多面的な対策を実施していることが説明されました。特に、就職後も園訪問や相談対応を続けるフォローアップ体制が高く評価されました。

委員からは、採用確保のためには単なる広報や補助だけでなく、職そのものの魅力向上が重要であるとの意見が多く出されました。具体的には、子どもと出会う喜びを実感できる養成の在り方、現場体験の充実、有償ボランティアによる現場理解、卒業後のフォローアップ、チームで支える働き方、育休・復職しやすい仕組み、支援スタッフの活用などが提案されました。また、子ども数の減少に伴う将来的な需給バランスも見据える必要があることが共有されました。

最後に、親会でまとめられた中間整理として、教職課程全体の再構造化、共通的に学ぶ内容の整理、強みや専門性を伸ばす仕組み、養成・採用・研修を通じた質保証の考え方が報告され、次回以降は幼稚園教諭養成の議論を本格化する予定であることが示されました。

②現場目線での一般的懸念

現場目線では、方向性そのものは妥当でも、実際に回る仕組みになるかが最大の懸念です。大学・自治体・園・関係団体の連携は理想的ですが、現場は日々の保育で手いっぱいであり、新しい会議体や連携事業が増えるほど、園側の事務負担や受入負担が重くなるおそれがあります。

また、学生の志望度低下に対して現場体験を増やす方策は有効ですが、受け入れる園側に余裕がなければ、かえって「忙しくて丁寧に関われない現場」を見せることになり、逆効果になる可能性もあります。実習・ボランティア・インターンを増やすなら、受け入れ園への人的・財政的支援が不可欠です。

有償ボランティアやインターンは魅力的な取組ですが、地域差も大きいと考えられます。都市部では受入先や学生数を確保しやすくても、地方では養成校自体が減っており、制度だけ作っても持続しにくい懸念があります。さらに、将来的には子どもの減少で人材需給が逆転する可能性もあり、「今の不足対応」と「将来の供給過多リスク」を両方見ながら制度設計する必要があります。

復職支援や人材バンクも重要ですが、実際には復職希望者の多くがフルタイムや担任業務をすぐには担えない場合があります。そのため、単に人材登録を増やすだけでは不十分で、短時間勤務、補助的業務、段階的復帰など柔軟な働き方を前提にした受入体制が必要です。ここが整わないと、資格保持者がいても現場には戻りにくいままです。

働き方改革についても、ICT導入だけで大きく改善するわけではない点が懸念されます。記録や連絡は効率化できても、保護者対応、預かり保育、行事、職員間調整など、人にしか担えない業務は依然として重いままです。結果として、「ICTは入ったが忙しさは変わらない」という受け止めになる可能性があります。

さらに、私立園が多い幼児教育分野では、園ごとの処遇差・勤務条件差が大きく、学生や復職者にとって見通しが立ちにくいことも課題です。給与改善が進んでも、休暇の取りやすさ、育休復帰のしやすさ、人間関係、園の将来性まで含めて安心できなければ、採用には結びつきにくいでしょう。

根本的には、幼児教育の社会的価値がまだ十分に伝わっていないことも大きな懸念です。現場では、幼児教育は「預かり」ではなく、人の育ちの土台をつくる専門職だという実感がありますが、それが社会や保護者、時には行政内部でも十分共有されていないと、処遇改善も人材確保も後追いになりがちです。

必要なのは、採用対策を個別施策の寄せ集めにせず、現場が働き続けられる職場づくりと、幼児教育の価値を社会に伝える発信を両輪で進めることだと考えられます。

教員養成部会 幼児教育作業部会(第2回)議事録:文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/122/gijiroku/mext_00007.html