教育課程部会 特別支援教育ワーキンググループ(第6回)議事録
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/105/gijiroku/mext_00009.html要約
令和8年1月19日に開催された「第6回 特別支援教育ワーキンググループ」の議事録を要約しました。
今回の会議では、主に「不適切な統計への対応」「次年度予算案」「学習指導要領改訂に向けた教科の構造化」の3点が話し合われました。
1. 報告事項
学校基本調査の修正と再発防止
- 問題: 大学進学率等の算出において、長年「特別支援学校」の数値が含まれていなかった。
- 対応: 過去に遡って数値を修正。原因は前例踏襲や統計リテラシーの不足。
- 防止策: 職員研修の実施、外部アドバイザーによるチェック機能の強化、他調査の見直しを推進する。
令和8年度予算案(特別支援教育関連)
- 総額: 約180億円(前年度と同規模だが、内容にめりはり)。
- 重点項目:
- 医療的ケア: 看護職員を5,300人へ拡充(前年比+400人)。
- ICT支援: 入出力支援装置の整備(5か年計画)を10/10補助で継続。
- 新規事業: 高等学校における発達障害生徒への支援体制モデル構築を新規計上。
- その他: 国立特殊教育総合研究所に「ウェルビーイングS&Iセンター(仮称)」を新設。
2. 知的障害教科の構造化(学習指導要領改訂案)
次期学習指導要領に向けた、資質・能力の「深まり」を可視化する案が示されました。
生活科(小学部)
- 4つの領域: 現行の12の内容を「学校・家庭」「対人関係」「くらし」「自然・もの」の4領域に整理。
- らせん状の学び: 段階を追うごとに、知識・技能が統合され、思考力・判断力が総合的に発揮される「らせん状の深まり」を可視化する。
職業科(中学部・高等部)
- 6年間の一貫性: 中学部の職業分野と高等部の職業を系統的に繋げる。
- 3つの区分: 「職業生活」「情報機器の活用」「産業現場等実習」の3本柱で構成。
- 情報教育: 職業生活における情報活用能力(リスク管理含む)を明確化。
3. 特別支援学校高等部の充実に向けた方策
学校の特色化・魅力化
- スクール・ポリシー: 各校の役割や特色を明確にするため、策定を導入する方向。
- 学科設置の柔軟化: 普通科に加え、地域ニーズに応じた「その他専門的な学科」の設置を可能にする。
キャリア教育と職業教育
- 地域連携: コミュニティ・スクールの活用や、農福連携、外部講師の招聘を促進。
- 専門教科の整理: 社会変化が激しい中、基準を国が示すのは「理療・理学療法・理容・美容」に限定し、その他は学校の裁量に委ねることで、現場の創意工夫を促す。
4. 主な委員の意見
- インクルーシブの視点: 特支学校の充実だけでなく、通常の高校との連携やアクセシビリティー確保をセットで考えるべき(是永委員、野口委員など)。
- 教員支援: 情報教育を担う教員が不足しており、専門性の担保や研修が不可欠(緒方委員、海老沢委員など)。
- 評価と解説: 「深い学び」をどう評価するか、経験の浅い教師でも分かる具体的な解説や事例が必要(丹治委員、一木委員など)。
(Gemini3にて要約)
予想される一般的懸念(Gemini3)
1. 知的障害教育の「構造化」と「らせん状の学び」
「理想の可視化は進むが、実務との乖離が不安」
- 教材研究の負担増: 12の内容を4領域に再編し、高次の資質・能力を目指す「らせん状の学び」を構築するには、高度な授業設計力が求められます。「具体的にどう授業を組めばいいのか」という標準的なガイドラインや、すぐに使える単元案がないと、現場の負担だけが増えるという声が上がります。
- 評価の難しさ: 「知識の統合的な理解」を知的障害のある生徒においてどう評価するのか。数値化しにくい成長を言語化・客観化する作業の工数増加を懸念する声が予想されます。
2. 職業科・家庭科の分離と「情報教育」の強化
「専門性と設備が追いつかない」
- 担当教員の確保: 議事録でも指摘があった通り、特別支援学校には「情報の免許」を持つ教員が圧倒的に不足しています。専門外の教員が「情報活用」を教えることへの不安や、教育課程を分けることによる時間割編成の複雑化への不満が想定されます。
- リスクへの過剰反応: SNSトラブルやネット犯罪への対策が求められる中、何かあった際の責任を現場がどこまで負うのか。指導要領に盛り込まれることで「教える義務」は増えるが、トラブル時のサポート体制は不透明だという不満。
3. スクール・ポリシーの策定と「特色化」
「選べない環境下での形式的な事務作業ではないか」
- 学区制との矛盾: 公立の特別支援学校は、基本的に学区によって通学先が決まります。「特色を打ち出して生徒を惹きつける」という高校のような競争原理が働かない環境でポリシーを策定することに対し、「単なる書類作成の仕事が増えるだけではないか」という冷ややかな視点。
- 学校間格差: 「特色」が予算や人員に直結する場合、既存の設備が整っている学校とそうでない学校で、教育の質に格差が生じることを懸念する声。
4. 高等部の専門教科の整理(裁量の拡大)
「自由度は上がるが、質の保障が困難」
- カリキュラム開発の丸投げ: 「理容・美容」等以外の専門教科の内容が学校設置者の裁量に委ねられることは、自由度が増す反面、「ゼロからカリキュラムを作らなければならない」という負担になります。
- 専門性の希薄化: 全国共通の基準がなくなることで、転勤や進学の際に学習内容の継続性が保てなくなる、あるいは教育内容が安易な方向に流れてしまう(専門性が薄まる)ことへの危惧。
5. 労働環境・人的資源の不足
「予算案の増員分では、現場の欠員補充で手一杯」
- 看護師や支援員の確保: 予算で「人数分」を計上しても、実際に募集しても人が集まらない地域が多々あります。「紙の上の定数が増えても、現場に人が来なければ意味がない」という切実な声。
- 主務教諭(仮称)の役割: コーディネーターを主務教諭として処遇する案についても、「権限だけでなく、それに見合う業務軽減(担任を持たないなど)がセットでなければ、ただの責任増になる」という懸念。
総括的な現場の声
「インクルーシブ教育」や「資質・能力の構造化」という方向性には理解を示しつつも、「現場の専門性と人員、そして授業準備の時間が圧倒的に足りない中で、新しい宿題だけが次々と降ってくる」という、疲弊感に基づいた反発や不安が根強いと考えられます。


