芸術系教科における資質・能力の再定義と今後の方向性 ~教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第7回)配布資料

① 内容の要約

次期学習指導要領に向けた、芸術系教科(音楽、図画工作・美術、書道)の目標や資質・能力の整理に関する議論が中心となっています。

  • 「思考・判断・表現」の一体化:現行では「発想・構想」と「技能を伴う表現」が別々に整理されていましたが、これを地続きのプロセス(プロセス全体)として一体的に示す方向で改善案が示されました 。
  • 「技能」の捉え直し:単なる手順の習得にとどまらず、状況に応じて主体的に活用できる「習熟・熟達」した技能としての位置付けを重視しています 。
  • 身体性と創造性の再評価:AI時代において、身体を通じて知性と感性を融合させ、自分なりの意味や価値をつくりだす人間の本質的な能力がより重要であると強調されています 。
  • 教科間の連関と構造化:各教科の目標の語尾(「見いだす」「追求する」「つくりだす」など)の共通性や連関、および資質・能力の3つの柱をどのように一体的に育成するかが検討されています 。

② 現場目線の一般的懸念

議論の内容から想定される、学校現場での実務的な懸念事項は以下の通りです。

  • 評価の複雑化:思考と表現を一体化して捉えることで、作品という「結果」だけでなく、試行錯誤の「プロセス」をどう適切に評価し、記録に残すかの負担が増える可能性がある 。
  • 言語化への偏重:思いや意図を重視するあまり、実際の表現(歌唱や演奏、制作)がおろそかになり、言語による説明ばかりが先行してしまうリスクへの警戒が必要です 。
  • 授業時間の確保:技能の習熟と、思考・判断の往還を丁寧に行うには十分な時間が必要ですが、現行の限られた授業時数の中で「深い学び」まで到達できるかという懸念があります 。
  • デジタルと身体性のバランス:デジタル機器の活用が推進される一方で、資料で強調されている「本物に触れる」「身体を使う」といったフィジカルな体験を、現場の環境整備や予算の範囲内でどう維持・充実させるかが課題となります 。
  • コミュニケーションの指導:作り手と受け手のやり取りを学習過程に組み込む提案がありますが、多様な表現を認め合う学級風土づくりや、議論の活性化には教員の高度な指導技術が求められます。

教育課程部会 芸術ワーキンググループ(第7回)配付資料
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